Research Results 研究成果
九州大学大学院医学研究院の三浦岳教授と大学院医学系学府博士課程 4年杉原圭大学院生の研究グループは、同大学先導物質化学研究所の木戸秋悟教授、佐々木沙織特任助教(研究当時)および名古屋市立大学の植村明嘉教授との共同研究で、血管においてペリサイトと呼ばれる細胞が内皮細胞を包み込むメカニズムを明らかにしました。
体内の细い血管では、内侧を覆う血管内皮细胞の周りをペリサイトが取り囲むことで血管の働きを调节しています。この细胞被覆现象がどのような仕组みで生じるかについて、研究グループは数理モデルを用いてメカニズムを予测し、実験的な検証を行いました。その结果、この现象には细胞间の弾性(硬さ)の违いではなく、细胞外基质と呼ばれる周囲の环境との接着性が重要であること、细胞间の大きさの违いもこの现象を助けている可能性があることを见出しました。数理モデルと実験的検証を连动して行うことで、细胞が细胞を覆う细胞被覆のメカニズムに大きく迫ることができました。
血管は全身の健康にとって重要な组织ですが、その形がどのように作られるかわかっていないことが多くあります。また、神経やがんなどでも细胞が细胞を取り巻く现象は数多く见られます。本研究は血管の形作りの根本に迫るだけでなく、広く类似の现象の仕组みを明らかにするための基础となるものです。
この研究成果は、2020年1月29日(水)(英国時間)に、英国科学雑誌「Journal of the Royal Society Interface」オンライン版で発表されました。
図1:小血管の断面の模式図。ペリサイトが内皮细胞を取り巻いている。笔颁:ペリサイト、贰颁:内皮细胞、贰颁惭:细胞外基质。
図2:単純な状況で実験的に生じたペリサイトによる内皮細胞の被覆と、Cellular Pottsモデル※7によるその再現。緑(PC):ペリサイト、赤(EC):内皮細胞。
この现象は细胞の弾性の违いによって起きているのではないかと予想して始めた研究でしたが、盖を开けてみると周囲の环境との接着性の违いという异なる仕组みが働いていました。数理モデルと実験との融合によって当初の予想が里切られたことはこういった研究の一种の醍醐味と言えます。