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Research Results 研究成果

価数秩序物質において初めて近藤効果の直接観測に成功 ~希土類化合物が示す多彩な性質の本質解明に期待~

2019.12.25
研究成果Technology

 九州大学大学院工学研究院の河江达也准教授、稲垣祐次助教、工学府博士课程3年の志贺雅亘大学院生(日本学术振兴会特别研究员)の研究グループは同大学院理学研究院の和田裕文教授、光田暁弘准教授、福冈工业大学の丸山勲准教授らと共同で、価数秩序物质で近藤効果が出现することを初めて直接観察することに成功しました。
 希土类元素はハイブリッド自动车で使われる强力な永久磁石の构成材料になるなど、その化合物が示す多彩な性质は様々な先端科学分野で利用されています。このような希土类化合物の特性は、4蹿轨道の不対电子が电気伝导を担う伝导电子と量子力学的な相互作用をすることに起因しています。今回注目した驰产笔诲(イッテルビウム?パラジウム)では、驰产の価数が非整数値+2.6価を持つ2次元面が整数値+3価を持つ面と交互に配列するという特异な価数秩序构造が実现することがわかっていました(図1)。しかし、どのような电子状态が出现しているのか不明でした。研究グループは点接合分光法を用いて电子のエネルギー状态を详细に调べることで(図2)、2种类のファノ共鸣信号を観测し各驰产サイトで独立に近藤共鸣状态が出现していることを明らかにしました。この结果は、価数秩序物质においても蹿轨道の电子が持つ磁気モーメントが伝导电子によって打ち消されることを示しており、希土类化合物が示す多彩な磁気的性质の解明に役立つだけでなく新たな机能性材料の开発につながる成果と期待されます。
 本研究は科学研究費(課題番号:25220605, 25287076, 26600102, 19J12194)の支援を受けました。本研究成果は米国物理学会発行の学術誌「Physical Review B」のオンライン版に2019年12月10日(火)付で公開され、その重要性から「Editor’s Suggestion(注目論文)」にも選出されています。

(図1)驰产笔诲の结晶构造の模式図。肠轴方向に驰产3+と驰产2.6+が周期的に配置。
(図2)点接合分光実験における探针から试料への电子トンネルの模式図。①探针→近藤共鸣状态へのトンネルと②探针→伝导电子バンドへのトンネルが干渉することによりファノ共鸣が起こる。驰产笔诲で特徴的に温度変化するファノ信号を検出できたことは近藤共鸣状态が形成されていることを示し、近藤効果が直接観测できたことを意味する。

研究者からひとこと

近藤効果は、最初は希薄金属磁性体で発见されましたが、その后は量子ドット、分子デバイス、强磁性体ナノ接合、四极子モーメント系など様々なところで确认されています。価数秩序物质でも観测できたことは、フェルミ面上の局在モーメントの问题は様々なところに颜を出す普遍的な量子多体问题であることを、改めて认识させられました。

论文情报

,Physical Review B,
10.1103/PhysRevB.100.245117

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