Research Results 研究成果
九州大学大学院医学研究院の叁浦岳教授、金沢大学新学术创成研究机构の佐藤纯教授、北海道大学电子科学研究所の长山雅晴教授らの共同研究グループは、脳の形成过程において长距离性の情报伝达因子である贰骋贵と短距离性の情报伝达因子狈辞迟肠丑の协调作用に注目し、数理モデリングを活用したコンピューターシミュレーションの结果を実験的に検証することによって、狈辞迟肠丑の働きが贰骋贵存在下では大きく変化することを见出しました。
细胞と细胞が情报のやりとりをする时、长距离性の情报伝达は拡散性のタンパク质によって、短距离性の情报伝达は细胞膜上のタンパク质によって隣接する细胞に伝达されます。贰骋贵は长距离性の、狈辞迟肠丑は短距离性の情报伝达を担う中心的な因子として知られています。しかし、この両者が协调して働いた时にどのような効果を示すのか、通常の生命科学実験によって调べることは困难であり、ほとんど理解が进んでいませんでした。
今回、EGFとNotchの協調作用を調べるにあたり、ショウジョウバエ脳の神経幹細胞形成過程において見られるProneural Waveと呼ばれる「分化の波」に注目しました。類似した分化の波は他の生物においても存在します。Notchの短距離作用が働いた場合、一般的にはいわゆるゴマシオパターンを形成しますが、Proneural Waveにおいてそのようなパターンは見られません。そこで、数理モデルに基づいたコンピューターシミュレーションを行ったところ、EGFの産生を減少させるとゴマシオパターンが現れることが予測されました。実際にEGFの産生量を減少させたところ、脳において明らかなゴマシオパターンが現れたことから、Proneural WaveにはNotchによる短距離性作用が確かに組み込まれており、EGFとの協調作用によって波の伝播速度を制御するという新たな役割を果たすことが明らかとなりました。EGFとNotchの協調作用は大脳皮質の形成過程における神経幹細胞の分化や、肺がん?乳がんの発症過程においても重要な役割を果たしていると考えられることから、本研究によって明らかとなった遺伝子ネットワークの動作機構、およびその正確なシミュレーションを実現する数理モデルは今後それら様々な生命現象の研究に対しても応用できると期待されます。
本研究成果は、米国科学誌Proceedings of the National Academy of Sciencesのオンライン版で2016年8月17日に掲載されました。