Research Results 研究成果
九州大学大学院医学研究院の二宫利治教授、本田贵纪助教および神戸大学大学院医学研究科の平田健一教授らの共同研究グループは、久山町研究の追跡调査の成绩を用いて血清中のトランス脂肪酸(エライジン酸)浓度の上昇が认知症発症と関连することを报告しました。
加工食品に多く含まれるトランス脂肪酸は、过剰摂取により心疾患の発症リスクを高めることが知られていました。しかし、トランス脂肪酸と认知症発症の関係については十分に解明されていませんでした。その原因として、食事调査ではトランス脂肪酸を定量的に调べることが难しいことが挙げられます。
そこで本研究グループは认知症のない久山町高齢住民约1,600名を10年间前向きに追跡し、代表的なトランス脂肪酸(エライジン酸)の血清浓度と认知症発症の関係を検讨しました。血清エライジン酸浓度は、神戸大学质量分析センターの篠原正和准教授によりガスクロマトグラフィー–质量分析法※を用いて测定しました。その结果、血清エライジン酸浓度の上昇に伴い、全认知症、アルツハイマー型认知症の発症リスクはいずれも有意に上昇することが判明しました。本研究成果は、トランス脂肪酸を定量的に测定して认知症の関连を调べた初めての报告であり、过剰なトランス脂肪酸が认知症の発症に寄与する可能性を示す重要な知见です。一方、トランス脂肪酸が认知症発症と関与する生物学的仕组みはまだ确定的ではないため、今后も検証が必要と考えます。
本研究成果はアメリカ神経学会の専门雑誌『狈别耻谤辞濒辞驳测』に、2019年10月23日(水)(现地时间)に掲载されました。
※多成分の化合物を気化させて分离し、分离させたそれぞれの成分が、どのくらいの量(质量)、试料に含まれているかを検出する装置。极微量な试料の定量に优れている。
(参考)血清エライジン酸浓度の4群(横轴)と认知症発症リスク(縦轴)
血清エライジン酸浓度が最も低い群(蚕1)と比べて、浓度が高い群では全认知症?アルツハイマー型认知症の発症リスクが上昇した。