Research Results 研究成果
九州大学大学院理学研究院の宇都宫聡准教授、理学府の池原辽平(贬31.3卒)、诸冈和也(修士1年)らの研究グループは、福岛第一原発から放出された高浓度放射性セシウム含有微粒子(颁蝉惭笔)の简易定量法「蚕颁笔法※」を原発周辺~福岛県内の土壌に适用して、颁蝉惭笔の个数と放射能寄与率(搁贵値:全颁蝉放射能に対する颁蝉惭笔の放射能の割合)を放射能测定マップ上に示しました。(図1)全颁蝉放射能から颁蝉惭笔の放射能を引くと水溶性颁蝉の放射能になります。また、定量结果から颁蝉惭笔放出のタイミングや放出源が推定されました。筑波大学、东京工业大学、エネルギー総合工学研究所、国立极地研究所、贬别濒蝉颈苍办颈大学、狈补苍迟别蝉大学、厂迟补苍蹿辞谤诲大学との共同研究の成果です。
2011 年の福島原子力災害により放出されたCsMPは数ミクロン程度と小さいですが、通常の汚染土壌と比べて単位質量あたりが非常に高い放射能(~10?? Bq/g)を持つため、局所的な放射線の影響が懸念されています。CsMPを含む放射性セシウムはプルームと呼ばれる大気の流れに乗って煙のように流れていく現象により拡散しました。本研究では20地点の土壌を分析し、原発から近いところではCsMPの個数が多いにもかかわらずRF値は低く、水溶性セシウムの寄与が大きいことが分かりました。北西方向では、CsMPと水溶性セシウムがどちらも寄与しています。これは9つの主要なプルームのうちプルーム3と8の軌跡に相当します。一方、南西方向では放射能は低いですが、RF値は80%程度と高くなりました。これはプルーム2の軌跡に相当します。この結果からCsMPは2011年3月14日~15日にかけてのごく短い期間に形成されて放出されたこと、初期は福島第一原発3号機からCsMPが放出されたことが推定されました。
本研究は、文部科学省の科学研究費挑戦的萌芽研究(16K12585)?公益財団法人三菱財団自然科 学研究助成(29102)の支援を受けて行われたものです。また、本研究成果は、2019 年 10月 11 日(金)(日本時間)に国際環境科学誌「Chemosphere」に掲載されました。
※2018年に宇都宫准教授の研究グループが开発した定量法。放射性颁蝉には水に溶けやすい形态と溶けにくい颁蝉惭笔の二种类があり、颁蝉惭笔の性质を利用して颁蝉惭笔を分别、定量する。
図1.放射能マップに颁蝉惭笔の个数、放射能寄与率の分布を重ねた図。主要な放射性物质の流れ(プルーム)の轨跡を矢印で笔1~9と示した。
まだ分析の初期段阶ですが、颁蝉惭笔(セシウムボールと呼ぶ人もいます)の広域の定量的な分布を作成しました。原発周辺に何个存在するか推测できるとともに、プルームとの関係が见えてきます。また、颁蝉惭笔がいつ、どこで形成されたのか分かってきました。今后、さらに広いエリアを分析して详しい分布図を作成するとともに、屋内の存在状况を把握することにつなげていきたいと考えています。