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Research Results 研究成果

超対称粒子の質量が持つ新しい性質を発見 ~超対称理論の様々な予言に影響を及ぼす可能性~

2019.10.08
研究成果Physics & Chemistry

 九州大学先端素粒子物理研究センター(搁颁础笔笔)の奥村健一特任助教は欧州原子核研究机构(颁贰搁狈)の尝贬颁実験で探索中の超対称粒子の质量が持つ新しい性质を発见しました。
 现在実験的に検証されている最も基本的な素粒子理论は标準模型ですが、宇宙の暗黒物质の存在など説明できない现象があり、さらに基本的な理论があると予想されています。その中でも有力とされているのが超対称理论です。超対称理论では标準模型のすべての素粒子に対しペアとなる新しい素粒子「超対称粒子」が予言されます。超対称粒子の质量は「超対称性の破れ」によって生じますが、奥村特任助教は量子重力理论の候补である超弦理论が示唆するモジュライ媒介と呼ばれる超対称性の破れを详しく调べました。そして超対称粒子の质量にこれまで存在すると考えられていた重い素粒子からの量子力学的な补正がある条件のもとで消えることを発见しました。例えばニュートリノの小さな质量を説明するシーソー机构では重い右巻きニュートリノが予言されます。この右巻きニュートリノはミューオンや电子の超対称ペアの质量に量子力学的な补正を与え、これにより理论の広い领域で実験の制限を超えるミューオン电子転换过程が生じると予言されていました。新しい性质が成り立てばこうした过程は抑制され、ある种の大统一理论に基づく模型など既に弃却されていた模型が生き返って今后の実験的探索の対象になります。この新しい性质は他にもこれまで知られていた超対称理论の様々な予言に影响を及ぼす可能性があります。
 本研究は九州大学機能強化経費「113番元素発見を中核とした先端素粒子?原子核研究拠点の形成」によって行われ、2019年10月7日(月)(日本時間)に米国の科学誌『Physical Review Letters』のオンライン版に掲載されました。

図. ミューオン电子転换の起こる割合
横轴:右巻きニュートリノの质量のパラメータ
実线(黒):実験からの制限

研究者からひとこと

素粒子論は基礎科学の一つであり日本のお家芸ですが、現在、国内の基礎科学は不安定な身分に置かれながらも奮闘している多くの若い研究者によってようやく支えられています。 様々な立場の方々に関心を持って頂き、そうした若手の活躍の場が広がるように協力して頂ければ幸いです。

论文情报

,Physical Review Letters,
https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.123.151801

研究に関するお问い合わせ先

奥村健一 先端素粒子物理研究センター(搁颁础笔笔) 特任助教