Research Results 研究成果
抗笔顿-1抗体(ニボルマブ)等の免疫チェックポイント阻害剤では着効例が认められ、近年大変注目されるようになってきました。しかし、既存の免疫チェックポイント阻害剤は抗体薬のみで薬価が高く、効果は限定的で、重篤な有害事象も数多く报告されており、既存の薬剤と併用する治疗の可能性を含め、新しい分子を标的とした免疫治疗开発は継続する必要があります。
九州大学大学院医学研究院の大西秀哉准教授および医学系学府博士课程4年の藤村晶子大学院生の研究グループは活性化リンパ球では活性化前に比べてチロシン脱リン酸化酵素である笔罢笔狈3(プロテインチロシンフォスファターゼノンレセプタータイプ3)発现が増加することに着目して研究を行いました。その结果、活性化リンパ球の笔罢笔狈3発现を抑制すると、チロシンキナーゼの脱リン酸化が抑制されることで、チロシンキナーゼが活性化し、リンパ球の増殖、游走、癌细胞伤害活性が亢进すること、即ち活性化リンパ球で発现が亢进する笔罢笔狈3が免疫チェックポイントとして作用することが试験管を用いた実験で分かりました。さらに、マウスに患者由来の癌细胞を接种し、同じ患者から採取した活性化リンパ球を投与して治疗を行う実験では、笔罢笔狈3を抑制した活性化リンパ球を投与したマウスでは、笔罢笔狈3を抑制していない活性化リンパ球を投与したマウスに比べ癌のサイズが有意に小さい结果となりました(下参考図)。また、活性化前リンパ球の笔罢笔狈3を抑制してもリンパ球机能に影响がないことを确认しており、このことから、笔罢笔狈3抑制治疗に伴う有害事象(自己免疫反応)が起こりにくいことが示唆されました。本研究の発见は、笔罢笔狈3阻害剤が、低分子化合物として开発出来る世界で初の非抗体型※4免疫チェックポイント阻害剤となる可能性を示しています。
本研究は2019年9月27日(金)(日本時間)に「Cancer Immunology Immunotherapy誌」でオンライン公開されました。なお、本研究は科研費:JP15K10055、JP17H04283、JP18K08682の支援をうけて実施しました。
(参考図)
黒点线:无治疗群の肿疡体积
黒実线:笔罢笔狈3を抑制していない活性化リンパ球を投与した群の肿疡体积
赤実线:笔罢笔狈3を抑制した活性化リンパ球を投与した群の肿疡体积
矢 印:リンパ球投与日
4年间続けた研究成果を公表でき、大変嬉しく思います。今后、この结果を基に、新规免疫チェックポイント阻害薬开発へ向けて、更なる研究を続けていきたいと思います。
(藤村)