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Research Results 研究成果

星間分子雲における核酸塩基生成に世界で初めて成功 ~宇宙の極限環境で核酸の構成成分が光化学反応により生成~

2019.09.30
研究成果Physics & Chemistry

 北海道大学低温科学研究所の大场康弘助教,海洋研究开発机构の高野淑识主任研究员,九州大学大学院理学研究院の奈良冈浩教授らの研究グループは,実験室内で极低温?超高真空の宇宙空间を再现し,水と一酸化炭素,メタノール,アンモニアで构成される氷薄膜内の光化学反応によって,遗伝物质である核酸の构成成分の一つ,核酸塩基が生成可能であることを世界で初めて确认しました。
 星が诞生する前の宇宙空间には,水素を主成分とする多様なガスと,星间(せいかん)尘(じん)と呼ばれる氷微粒子で构成される领域(星间分子云)があります。星间分子云は-263℃という极低温にもかかわらず,活発な化学反応の场であることが知られています。これまでの研究においては,紫外线や宇宙线という宇宙における普遍的なエネルギー源を用いた化学反応が検証され,たんぱく质の主成分であるアミノ酸など,生体関连分子が生成可能であることがわかっていました。近年の実験?分析技术の発展により,生命の遗伝情报を担う核酸(顿狈础?搁狈础)の构成成分2种(糖?リン酸)の生成も确认されるようになりましたが,残る一つの成分,核酸塩基についてはそうした宇宙の极限环境で生成可能かどうかは実証されていませんでした。そこで本研究では,星间分子云における氷微粒子の光化学反応を再现し,超高分解能质量分析计を駆使した分析を行いました。その结果,得られた生成物から初めて核酸塩基を検出することに成功し,核酸の构成成分すべてが生成可能であることを実証しました。本结果は,太阳系形成时にどのような有机化合物が存在したのか,それらは地球上での生命诞生にどのように寄与したのかなど,人类にとっての根源的な疑问を纽解くカギとなることが期待されます。
 なお,本研究成果は,日本時間2019年9月27日(金)午後6時(英国夏時間2019年9月27日午前10時)公開のNature Communications誌に掲載されました。

図1.核酸の最小単位,ヌクレオチドの构造例。
図中の分子はアデノシン―リン酸。

図2.本研究で検出された核酸塩基

论文情报

,Nature Communications,
10.1038/s41467-019-12404-1

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