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Research Results 研究成果

「うなぎの寝床」の環境を科学的に解明 ~ニホンウナギの棲みやすい川づくりへの指針を提示~

2019.07.19
研究成果Life & Health

 九州大学大学院生物资源环境科学府博士课程1年の松重一辉、安武由矢大学院生、同大学院农学研究院の望冈典隆准教授の研究チームは、鹿児岛県の4水系での调査结果をもとに、河川内でニホンウナギが利用する生息环境を科学的に示すことに成功しました。
 ニホンウナギの个体数は减少倾向にあり、多くの个体が生息する河川环境の効果的な保全が求められています。ニホンウナギは河川の下流から上流までの広い范囲に分布します。しかし、そのなかで具体的にどのような环境に生息するのかはわかっていませんでした。そこで、研究チームは鹿児岛県の4つの水系を対象に、一般に下流、中流、上流と呼ばれるような范囲をさらに细かく区切って调査を行い、ニホンウナギが生息する环境を高精度かつ具体的に示すことに成功しました。たとえば、下流に分布する小さい个体は河川勾配の缓やかな区间を好み、その区间のなかでは隠れ家となる砂利が河床に多く、流れの穏やかな浅い瀬を利用することがわかりました。
 今回の研究によって、保全の対象とすべき生息環境を具体的に示すことができました。たとえば、コンクリートで護岸されていない水際や砂に埋もれていない砂利や石のある河床は、ニホンウナギやその餌生物に隠れ家を提供する重要な環境です。河川は、わずか6 cm程度のシラスウナギがマリアナ海域の産卵場へ旅立つまで数年から十数年かけて成長する重要な生息地です。そのため、今回の成果をもとにニホンウナギの棲みやすい河川環境を整えることで、将来にわたってニホンウナギの蒲焼きを楽しむことができると期待されます。本研究の一部はウナギ資源保護推進事業(鹿児島県商工労働水産部水産振興課)の支援を受けて行われました。

(参考図)隠れ家から颜をのぞかせるニホンウナギ。このように、ニホンウナギは河床や河岸の隙间に隠れる习性があります。今回の研究によって、彼らが隠れて过ごす「うなぎの寝床」がどのような环境なのかを明らかにすることができました。

研究者からひとこと

ニホンウナギは水产的価値も知名度も高いですが、生息环境という基本的な事柄も十分に调べられていませんでした。このような现状を知り、惊愕したのが今回の研究の出発点でした。川に潜って水の中から隠れ家を観察したり、実际に手を入れて构造を确かめたりしながら、文字通り手探りで研究を进めました。

论文情报

,Ichthyological Research,
10.1007/s10228-019-00704-x

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