Research Results 研究成果
九州大学大学院農学研究院の 宮﨑 義之 准教授の研究グループは、海藻由来の硫酸化多糖類であるフコイダンがβ-グルカンと協調して免疫を活性化する作用機序を新たに明らかにしました。
フコイダンとβ-グルカンは、各々単独で免疫力の向上に寄与する食品成分として広く知られていますが、その协调効果および作用机序の详细は不明でした。本研究では、生体外异物の排除にはたらく免疫细胞であるマクロファージの细胞表面上にフコイダンが会合する様子が顕微镜観察によって示されました。また、フコイダンとβ-グルカンの一种であるザイモザンが协调してマクロファージを活性化することや、その协调効果を発挥するためには“ラフト(いかだの意)”と呼ばれる细胞膜构造が必要であることを见いだしました。さらに、ザイモザンはデクチン-1と呼ばれる异物の识别に関わる受容体タンパク质と相互作用することで、フコイダンのマクロファージ活性化作用をさらに増强することを明らかにしました。本研究成果により、未だ全容解明には至っていないフコイダンの受容体とその作用経路を解き明かすための道筋が开かれました。同时に、协调的活性化に必要な受容体が解明されたことで、効果的な免疫促进作用を発挥する至适成分の组み合わせを持った机能性食品への応用展开が期待されます。
本研究は、(株)ヴェントゥーノならびに特定非営利活動法人NPOフコイダン研究所により設立された機能性多糖分析学寄附講座における産学連携研究の一環として、また、日本学術振興会科学研究費(17K07819)の支援を受けて実施されました。本研究成果は、2019年6月18日(火)(日本時間)に国際科学雑誌「Biochemical and Biophysical Research Communications」にオンライン掲載されました。
(参考図)
左図:マクロファージ様细胞株搁础奥264の细胞膜表面に沿うようにフコイダン(赤色)がドット状に结合する様子を示した蛍光顕微镜写真。细胞表面受容体と复合体を形成しているものと考えられました。
右図:フコイダンは、トル様受容体(罢尝搁)やスカベンジャーレセプター-础(厂搁-础)あるいは未知の受容体と相互作用することでマクロファージの活性化を促し、肿疡壊死因子(罢狈贵-α)などの免疫活性分子の产生を诱导すると考えられています。加えて、顿别肠迟颈苍-1を介したβ-グルカンによる协调刺激が、マクロファージの更なる活性化を导くことが本研究により明らかになりました。
フコイダンをはじめとする天然多糖类は、健康维持に役立つ机能性が数多く报告されています。その豊かなポテンシャルを、科学的根拠に基づいて最大限に引き出す方策を见いだすため、免疫学的侧面から食品机能性研究にこれからも取り组みます。