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Research Results 研究成果

「時計」を持たない生物ヒドラの日内変動を発見 ?山川賞受賞学生らが明らかに?

2019.03.13
研究成果Life & HealthPhysics & Chemistry

 九州大学理学部生物学科3年生の金谷啓之(山川賞受賞学生)と基干教育院の小早川義尚教授および伊藤太一助教らの研究グループは、サンゴやクラゲの仲間である刺胞動物ヒドラの日内変動を、行動解析と大規模遺伝子発現解析によって明らかにしました。
 ほぼ全ての生物には体内时计が存在し、およそ24时间周期で変动する生理现象が観察されます。睡眠?覚醒、ホルモン分泌、体温などは基本的に体内时计によって调节されています。こうした体内の「时间」は、时计遗伝子と呼ばれる遗伝子群によって作り出されていることが知られています。しかし、刺胞动物のヒドラには、主要な时计遗伝子が存在しないことがゲノム解析によって示唆されていました。そこで、研究グループはヒドラの行动を详细に解析したところ、明暗サイクルに同调した行动を示すことが分かりました。またマイクロアレイと呼ばれる技术を用い、约24,000个の遗伝子について発现量の変化を时刻依存的に解析したところ、380种类の遗伝子の発现に约24时间の周期性があることが分かりました。その一部は、时计遗伝子を持つ近縁の动物种で周期性が観察されている遗伝子と共通でした。つまりヒドラは时计遗伝子を持たないにも関わらず、周囲の环境変化に応じて1日のリズムを作り出し、时计遗伝子を持つ生物のようにして生体机能を调节していることが示唆されます。なぜ、ヒドラは时计遗伝子を失い、そして失ったにも関わらず周期性のあるライフスタイルを持っているのでしょうか。ヒトを含めほとんどの生物が持つ体内时计の意义を探る上で、ヒドラは大きな可能性を秘めていると考えられます。
 本研究は、九州大学基金支援助成事業「山川賞」のサポートのもとで行われました。山川賞は山川健次郎初代総長の名を冠した賞であり、九州大学教育憲章が指向する人間性、社会性、国際性、専門性に対して優れた志を持ち、学業に優れた学部学生を選考し、次代を担う若者を育てることを目的とした事業です。研究成果は、2019年3月8日(金)にオンライン科学誌「Zoological Letters」(https://zoologicalletters.biomedcentral.com/articles/10.1186/s40851-019-0127-1)に掲載されました。

(参考図)时计遗伝子を持たないヒドラ(左)においても、その行动には日内変动が见られた(中)。大规模遗伝子発现解析により、周期的な発现を示す遗伝子を380种类同定した(右)。

研究者からひとこと

この研究は、「体内时计について知るには、あえて体内时计をもともと持たない生物を调べると面白いのではないか?」という学生(金谷)の発想から生まれました。ヒドラの専门家である小早川教授、そして概日リズムが専门の伊藤助教が共同で取り组んだ研究です

论文情报

,Zoological Letters,
10.1186/s4085-019-0127-1

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