Research Results 研究成果
東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所の清水啓佑大学院生(当時、現同大学博士研究員)、東正樹教授、大場史康教授、同大学元素戦略研究センターの熊谷悠特任准教授(当時)、九州大学大学院総合理工学研究院の北條元(はじめ)准教授、名古屋工業大学大学院工学研究科の壬生攻教授らの研究グループは、磁石の性質(強磁性)と電気を蓄える性質(強誘電性)が共存したセラミックス結晶について、室温で電場により磁石の極性を反転(磁化反転)させることに成功しました。電場による磁化反転は次世代磁気メモリー実現の鍵として注目されていながらも、これまでに室温で実証されたことはありませんでした。
同研究グループは强磁性と强诱电性が共存した「コバルト酸鉄酸ビスマス」を薄膜形态で安定化させ、その磁気ドメインと强诱电ドメインの构造を走査プローブ顕微镜(用语5)で调べました。その结果、両ドメインの构造は类似しており、强磁性と强诱电性には相関が存在することが明らかとなりました。さらに走査型プローブ顕微镜の探针を用いて电场を印加し、电気分极を反転させることにより、磁化の方向を反転させることに成功しました。电场により制御可能な低消费电力の磁気メモリー実现につながる成果と期待されます。
同研究グループには东工大の川边谅大学院生、清水阳树大学院生、山本孟大学院生(いずれも当时)、胜俣真纶大学院生、重松圭助教が参画しました。
研究成果は米国化学会誌「Nano Letters(ナノレターズ)」のオンライン版で2月7日(日本時間)に公開されました。
図1:コバルト酸鉄酸ビスマスの磁気构造の模式図。スピンが倾斜しているため、磁化は打ち消し合わずに、自発磁化が电気分极に直交した方向に现れる。
図2:电気分极反転前(上)と电気分极反転后(下)のコバルト酸鉄酸ビスマス薄膜の室温における圧电応答顕微镜像(左)と磁気力応答顕微镜像(右)。それぞれ、强诱电ドメイン构造と磁気ドメイン构造に対応する。色は、それぞれ电気分极の薄膜面内成分および磁化の薄膜面外方向の成分を表している。上左図の强诱电ドメインが寒色であることは、电気分极の面外成分が纸面の奥方向を向いていることに対応する。下左では电気分极の方向が反転したため、强诱电ドメインの色が暖色に変化している。また、右上下を比较すると、电気分极の反転により、磁化の面外成分が反転していることがわかる。