Research Results 研究成果
九州大学大学院医学研究院の松田泰斗助教、中岛钦一教授らの研究グループは、世界で初めて、脳や脊髄の中で通常は免疫细胞として働くミクログリアに、たった1つの遗伝子(狈别耻谤辞顿1)を导入するだけで、机能的な神経细胞(ニューロン)へ直接変化(ダイレクトリプログラミング)させることに成功しました。
脊髄损伤や脳梗塞などによって神経回路が伤つき失われると、神経伝达机能が絶たれ、运动机能などが障害されます。运动机能回復のためには、新しいニューロンを损伤部位に供给することで、失われた神経回路を再构筑する必要があります。ミクログリアは、神経损伤部位に集积して死细胞を除去する性质がある脳?脊髄内の免疫担当细胞ですが、通常はニューロンへ変化することはありません。研究グループは、脳の発生过程でニューロン产生に関わる重要な遗伝子である狈别耻谤辞顿1をミクログリアへ导入すると、ミクログリアの运命制御に関わるエピジェネティクスの书き换えが起こり、结果としてニューロンへのダイレクトリプログラミングが诱导されることを明らかにしました。人為的操作により作製されたニューロンは、既存のニューロンと类似した遗伝子発现パターンを示すだけでなく、シナプスを形成することで神経回路に组み込まれ、自発的な神経活动を行います。このように、作製したニューロンは生体のニューロンと同様の性质を有していることがわかりました。この成果は、损伤部位に集积したミクログリアからニューロンへダイレクトリプログラミングすることで実际に运动机能回復が见られる可能性を示しており、将来的な神経疾患治疗への応用が期待できます。
本研究成果は、2019年1月9日(水)午前11时(米国东部标準时间)に国际学术雑誌『狈别耻谤辞苍』に掲载されました。なお、本研究は文部科学省科研费(18碍14820、16贬06527)、创薬等先端技术支援基盘プラットフォーム(叠滨狈顿厂)(闯笔16补尘0101102、闯笔16补尘0101103补苍诲521、闯笔16补尘0101105)の支援を受けました。
図1 : 本研究成果の概略図
図2 : ミクログリア (左) とiN 細胞 (右)。NeuroD1を遺伝子導入するとミクログリアはニューロン様の形態を示す。
共同研究者を含めてこれまでみんなで顽张ってきた成果を公表できて大変嬉しく思います。今后は脳梗塞や脊髄损伤モデルマウスを使って、本研究で得られた成果が、実际に运动机能の回復に结びつくのかどうかを検讨したいと考えています。(松田)