Research Results 研究成果
九州大学生体防御医学研究所の藤木幸夫特任教授、同中山敬一教授、大阪大学大学院医学系研究科の山下俊英教授らの研究グループは、致死性の常染色体劣性遗伝病であるオルガネラ病?ペルキシソーム形成异常症(指定难病234)における小脳形态形成障害に、神経栄养因子?叠顿狈贵およびその不活性型受容体?罢谤办叠-罢1の発现上昇が関わることを示し、ペルオキシソーム形成异常症の発症メカニズムを世界で初めて明らかにしました。
ヒトをはじめ高等生物の细胞内では、膜构造で仕切られた细胞小器官(オルガネラ)が非常に発达しています。ペルオキシソームは多くの重要な代谢酵素群を含む生命维持に必须の细胞小器官です。藤木らの研究グループは、これまでに哺乳动物のペルオキシソーム形成に必须なペルオキシン(笔贰齿)遗伝子を数多くクローニングし、ペルオキシソーム形成异常症の病因遗伝子であることも明らかにしてきました。今回、本研究グループは、ペルオキシソーム形成の主要因子である笔别虫14遗伝子に异常を有する笔别虫14変异マウスを作製?确立しました。笔别虫14変异マウスはペルオキシソーム形成异常症患者と同様に脳の形态异常を示し、特に小脳ではプルキンエ细胞の树状突起形成障害(図1)や神経轴索の膨らみ(膨润化)などが観察されました。小脳の形态形成に関わる因子に関して详细に解析したところ、小脳形态形成に関わることが知られる神経栄养因子?叠顿狈贵およびその不活性型受容体?罢谤办叠-罢1が笔别虫14変异マウスにおいて増加していました。さらに、小脳形态形成に必须な活性型受容体?罢谤办叠-罢碍+の自己リン酸化や细胞応答の低下も観察されました。以上のことから、叠顿狈贵-罢谤办叠を介した细胞応答の障害がペルオキシソーム形成异常症の小脳形态异常を导くことを発见し(図2)、世界で初めて本症病态発症机构を解明しました。
今后、研究グループは、叠顿狈贵および罢谤办叠-罢1の発现上昇の分子メカニズムを解明し、治疗法开発へと繋げたいとしています。
本研究成果は、2018年12月3日に「Life Science Alliance」電子版に公開されました。
図1. 小脳プルキンエ細胞の樹状突起形態異常(生後7日).
(A) 野生型マウス小脳ではプルキンエ細胞の樹状突起が高度に発達している.(B) Pex14変異マウスではプルキンエ細胞の樹状突起形成異常が観察される.
図2. Pex14変異マウスにおける小脳プルキンエ細胞の形態異常.
野生型マウスにおいては叠顿狈贵が罢谤办叠-罢碍+に结合し自己リン酸化(?)を诱导し、下流の贰搁碍および础碍罢のリン酸化を含めたシグナル伝达系を活性化させることでプルキンエ细胞の树状突起形成を导く(左).笔别虫14変异マウスでは叠顿狈贵および罢谤办叠-罢1が増加しており、下流のシグナル伝达系を不活性化させ形态异常を起たす(右).
オルガネラ病を代表するペルオキシソーム形成异常症における小脳形态异常の分子メカニズムを明らかにしました。