Research Results 研究成果
今回、九州大学大学院工学研究院及び都市研究センターの馬奈木俊介主幹教授の研究グループは、出版代表者として委託を受けた国連報告書「Inclusive Wealth Report 2018(IWR: 包括的な豊かさに関する報告書)」を発表し、健康面をはじめて取り入れた新たな経済成長の指標結果を発表しました。
豊かさや経済の持続可能性を評価するため、「包括的な富(Inclusive Wealth: 新国富指標)」の研究が2012年から進められています。これは、従来の国民総生産(GDP)などでは測れないインフラ、健康、教育、自然といった国の資産全体を計測し、総合的に評価するものです。経済的な側面だけでなく環境や健康、教育といった面を成長させていくこと(包括的な成長)は国や地域の発展にとって重要であり、また、2030年までの国連目標である持続可能な開発目標(SDGs)の達成のための重要な要素です。しかし、これまでは「包括的な成長」と言っても、なにをどう計測して進めるか不明でした。
そこで同グループは、これまで相互比较が困难であった健康面などの侧面まで経済価値を各国ごとに経年で占める割合を计测する手法を开発することに成功しました。主な结果として、健康、教育、自然の各资本が世界全体の富のそれぞれ、26%,、33%,、20%を占め、インフラ开発の21%同等またはそれ以上の価値があることが示唆されています。
同グループの马奈木主干教授が代表をつとめる同报告书にて健康面がはじめて取り入れられ、包括的な成长に寄与できる指标となりました。今后は、各开発政策の立案を进めるうえで重要な企画立案、事后评価に役立つ情报として活用されることが期待されます。
本研究は、日本学術振興会 科学研究費助成事業(JP26000001)の支援を受けました。本研究成果は、7月28日(土)付のRoutledge出版(無料版は下記より:https://www.taylorfrancis.com/books/e/9781351002073)に掲載されました。
なお、同研究成果については、2018年9月26日(水)開催予定のWorld Social Science Forum2018特別セッションにて報告(英語)予定です。
図1.世界の富の割合
図2. 本研究の分析フレームワーク
インフラの価値を理解することに比べて环境、教育、健康の価値をインフラと同じ経済価値で理解することは难しいです。往々にして「べき论」で、过剰又は过小な投资になりがちです。
本成果は、各国の将来设计だけでなく都市政策において。なにをどの程度进めるかを理解する指针になれば良いと思います。