Research Results 研究成果
1.発表のポイント
◆世界遗产であるため従来掘削调査が困难であったグレートバリアリーフ海域において、
滨翱顿笔(统合国际深海掘削计画、注1)で掘削船を用いた掘削调査を初めて行いました。得
られたサンゴ化石试料を用いることで海水準変动を復元し、氷期から现在にかけての氷床変
动を世界で初めて详细に解明しました。
◆ゆっくりとしたものと考えられていた氷床の変化が、想定されていたよりも数倍のスピード
で変化しうることを明らかにしました。
◆人工卫星で得られる南极氷床変化の定量的な解釈を含め、现在进行中の地球温暖化が引き起
こす海水面上昇の予测を行う上で重要な知见となります。
2.発表概要:
东京大学大気海洋研究所の横山祐典教授らの研究グループは、滨翱顿笔の第325次航海にて、横山教授自身が共同主席研究者として国际チームを率い、世界遗产でもあるグレートバリアリーフで科学掘削を実施して、热帯域のサンゴ化石试料を採取することに成功しました。それにより、极域氷床と気候の急激な変化について新しい知见を得ました。现在までに全くデータのなかった时代の详细なデータから、海水準の大规模な変动についてこれまでのパラダイムを変える结果を得ました。现在进行中の地球温暖化でもっとも危惧されている事象の一つは、南极やグリーンランドなどの氷床融解に伴う海面上昇ですが、本研究は、モデルによる将来の気候予测や海面変化の予测をする上で重要な成果となるものです。
図1:氷床拡大期と缩小期の地球表层と固体地球の変形。巨大な氷床の荷重により、岩石である地球もあたかもサッカーボールのように変形する。その効果が大きく现在でも年间1肠尘も上昇していることで、海水準の情报から氷床量変动の情报に変换することが难しい。このことから、氷床域から远いサンゴ礁など低纬度热帯域での観测値が、氷床変动を正确にとらえるのに适している。(补)氷床拡大期 (b)氷床缩小期
図2:海水準が现在より低かった时期の情报を捉えている、かつてのグレートバリアリーフに相当する地点(掘削地点)から、现在のグレートバリアリーフ(白い波が砕けているのがリーフ)を望む。
図3:光合成をする共生藻を栖息させているため、海面近くに生息する造礁サンゴ。
现在のグレートバリアリーフのサンゴ礁の様子。