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Research Results 研究成果

筋肉の再生を促进させるスイッチの発见-筋肉の再生治疗の応用に期待-

2018.04.09
研究成果Life & Health

 九州大学生体防御医学研究所の大川恭行教授、原田哲仁助教、前原一満助教の研究グループは、早稲田大学の胡桃坂仁志教授、东京工业大学の木村宏教授、徳岛大学の竹本龙也教授、长崎大学の小野悠介准教授との共同研究により、マウスの骨格筋の再生を促进するのに必要な、これまで知られていなかった新たなヒストンタンパク质(以下ヒストン)を発见しました。
 ヒストンは、遗伝情报が记された全长2メートルもの糸状の顿狈础を数マイクロメートル以下の细胞核内に効率よく格纳するために必要な糸巻きとして机能するタンパク质です。大川教授らは、2015年に、ヒストン亜种を新たに14种类発见し、世界から注目を集めていましたが、これらの机能は不明なままでした。
 本论文では、大川教授らが発见したこれらのヒストン亜种のうち、贬3尘尘7と名付けたヒストンが、筋肉の再生に重要であることを明らかにしました。贬3尘尘7はマウスの筋肉(骨格筋)中にわずかに存在する筋干细胞に多く含まれていました。筋干细胞は、筋损伤が生じると速やかに増殖し分化することで、短时间に筋肉を再生します。これにより、生体内で最大の体积を占める筋肉の恒常性が保たれています。ところが、贬3尘尘7遗伝子を欠损したマウスでは筋干细胞の数は変化しないにもかかわらず、损伤后の筋肉の再生が遅延することが分かりました。その后の解析で、ヒストン贬3尘尘7は筋干细胞内で顿狈础を缓めることで细胞内の遗伝子が働きやすくする作用があることが分かりました。このメカニズムの解明により、今后の干细胞研究や再生医疗への応用が期待されます。
 本研究は、科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)研究領域「統合1細胞解析のための革新的技術基盤」(研究総括:菅野 純夫 東京大学 教授)における研究課題「細胞ポテンシャル測定システムの開発」(研究代表者:大川 恭行 九州大学 教授)、日本学術振興会 科学研究費JP25116010、JP17H03608 、JP15K18457 、JP16K18479および徳島大学先端酵素学研究所 共同利用?共同研究の支援により得られたものです。
 本研究成果は、2018年4月11日(水)午前10時(英国時間)に英国科学雑誌「Nature Communications」で公開されました。

(参考図)
ヘビ毒などで损伤した骨格筋の修復(再生)は、骨格筋干细胞が筋肉の再生に必要な遗伝子の発现を上昇させ筋组织へと分化することで起こります。一方で、贬3尘尘7遗伝子を欠损した骨格筋细胞では、筋再生に必要な遗伝子の発现が促进されないため不完全な骨格筋再生が起こります。

研究者からひとこと

ヒストン亜种は主要なヒストンと顿狈础配列から类似性が高く区别が困难であったことから、その存在が见过ごされてきました。本研究成果は、これらヒストン亜种が私たちの体を形成する细胞や组织の恒常性维持(筋再生など)に机能している可能性を示唆しており、今后、これらの机能破绽により引き起こされる疾患の発见や治疗法の开発が期待されます。

论文情报

,Nature Communications,
10.1038/s41467-018-03845-1

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