Research Results 研究成果
<研究の背景>
今からちょうど200年前の1817年12月29日(旧暦では文化14年11月22日)、现在の八王子市中心部に多数の陨石が落下しました。この「八王子陨石」については当时の日记などの史料に多くの记録が残されており、约10办尘の范囲に、长さ1尘程度のものを含む多くの破片が落下した陨石(いんせき)雨(う)(陨石シャワーとも言う)だったことが分かっています。落ちた陨石の一部は江戸幕府勘定奉行所に届けられ、天文方(てんもんかた)によって调べられましたが、现在までにそれらはすべて散逸し、失われてしまいました。
1950年代になり、京都の土御門(つちみかど)家(け)の古典籍の中から、約0.1gの隕石小片が発見されました。「隕石之事」と書かれた紙包みの中に、八王子隕石について書かれた紙に挟まれて入っていたことから、八王子隕石の一つであると考えられました。しかし、同じ包みの中に曽根隕石(1866年6月7日、現在の京都府京丹波町に落下した約17kgの隕石。京都府が所蔵し、国立科学博物馆に寄託?展示中)について書かれた紙も入っており、曽根隕石の一部である可能性も否定できませんでした。
この小片が八王子陨石かどうかを确かめるにはどうすればよいでしょうか?もし、ほかに八王子陨石があれば、この小片と比较することで确认ができますが、残念なことに八王子陨石と断定できる陨石は今のところありません。そこで、小片と曽根陨石とを详细に分析し両者に违いが见つかれば、八王子陨石である可能性が高くなります。しかし、これまでの技术では、微量な陨石小片を分析することが困难でした。
<研究の内容>
研究グループは今回、「はやぶさ」が持ち帰った粒子の分析にも用いられた、最新の技术で分析を行いました。陨石の小片(116.1尘驳)から、20.0尘驳を割りとり、研磨薄片を作成し、光学顕微镜による组织観察および电子线マイクロアナライザによる鉱物组成(かんらん石、辉石、自然ニッケル鉄、酸化鉱物)の分析を行いました。また、别の0.7尘驳を用いて齿线回折装置による分析を、5.4尘驳を用いて希ガスの分析を行いました。比较のため、曽根陨石に対しても同様の分析を行いました。
组织観察と鉱物组成の検讨の结果、分析した陨石小片は「普通コンドライト」と呼ばれる种类で、化学的グループは贬で岩石学的タイプは5(以下「贬5」と略す)であることがわかりました。これは曽根陨石と同じでした。さらに、かんらん石と辉石の鉱物组成は、曽根陨石のそれと误差の范囲内で同一でした。齿线分析、希ガス组成、宇宙线照射年代においても、分析した小片と曽根陨石の违いはほとんど见つかりませんでした。
これらの结果から、分析した陨石小片は八王子陨石ではなく、曽根陨石である可能性があります。一方で、贬5普通コンドライトは全陨石の约18%(57,168个のうちの10,109个)を占めている最も多い种类の陨石であり、八王子陨石と曽根陨石がたまたま同じタイプの陨石であった可能性も十分にあります。
図1:分析した隕石。図中の黒線は5 mm。国立科学博物馆所蔵