Research Results 研究成果
九州大学大学院薬学研究院の大嶋孝志教授と矢崎亮助教らの研究グループは、ペプチド(タンパク质)の构成成分として、医薬品中に広く用いられている重要な化合物であるα-アミノ酸の新たな合成法の开発に成功しました。
自然界に存在しない非天然型のα-アミノ酸は、天然型のα-アミノ酸では発现できない新たな机能を有しているものも多く、新たな医薬品开発などにおいて注目されています。しかし、非天然型のα-アミノ酸は人工的な合成が必要であるため、その効率的な合成法の开発が强く望まれています。今回の研究成果では、あらかじめα-アミノ酸の炭素骨格を构筑した后に、触媒的にアミノ基を导入する新たな合成戦略を立案することで、従来法では合成困难であった様々な官能基共存下において化学选択的に非天然型のα-アミノ酸を合成することに成功しました。また本合成手法は、天然物などに広く存在し、安価で入手容易なカルボン酸を原料としており、カルボン酸を有している天然物をα-アミノ酸に简便に変换することができるため、新たな医薬品创製のためのツールとなることが期待されます。
本研究成果は、2016年2月9日(火)に国際科学誌「Journal of the American Chemical Society (IF 12.1)」で掲載されました。
カルボン酸诱导体としてアシルピラゾールを用いることで、これまで困难であった触媒的なアミノ化反応を化学选択的に进行させることに成功しました。本反応は、温和な条件下进行するため様々な官能基を用いることができます。
今回开発したα-アミノ酸合成法では、独自の非天然型α-アミノ酸を合成できますが、まだまだ合成できないα-アミノ酸も数多くあります。そのため今后も、より実用的でこれまで合成すらされなかったような独自のα-アミノ酸を合成するための手法を开発し、新规医薬品や机能性分子开発に贡献したいと考えています。