Research Results 研究成果
不斉四置换炭素*1を持つ非天然アミノ酸类は、天然由来のアミノ酸类とは异なる特性を有し、医薬品や生物活性物质の合成において重要な化合物の1つです。この非天然アミノ酸类の化学合成法の1つとして、ケチミン*2とカルボニル化合物との反応が世界中で研究されてきました。しかし、これまでの合成法では窒素原子があらかじめ保护されたケチミンを用いており、不要な保护基の着脱が必要となるため合成効率の面で改善の余地を残していました。
今回、九州大学大学院薬学研究院の大嶋孝志教授?森本浩之讲师らは、金属触媒を用いることで、窒素原子が无保护のケチミンに対する反応が原子効率100%で円滑に进行し、不斉四置换炭素を持つ様々な窒素上无保护の非天然アミノ酸类を直接合成可能であることを実証しました。また、本反応が有机触媒を用いて不斉合成*3へと适用可能であることも见出し、种々の不斉四置换炭素を有する非天然アミノ酸类の合成も达成しました。さらに、连続した不斉四置换炭素を有する窒素上无保护の非天然アミノ酸类の立体选択的な直接合成にも世界で初めて成功しました。
以上の研究成果は、Wileyが出版する国際総合化学誌「Chemistry—A European Journal」に2017年9月26日にオンライン版(DOI: 10.1002/chem.201703516)で発表されました。また、本論文は同誌の編集者が重要と認める論文に付与されるHot Paperに選出されました。
*1 水素以外の异なる置换基が4つ结合した炭素原子。
*2 炭素–窒素二重结合を有する有机化合物のうち、炭素上に水素以外の置换基を有するもの。
*3 左手と右手の関係にある化合物を作り分ける合成方法。
(図)今回开発した、窒素上无保护の非天然アミノ酸类の触媒的直接合成手法:不斉四置换炭素を有する窒素上无保护の非天然アミノ酸类の合成法を确立した。本反応は高い原子効率で直接无保护非天然アミノ酸类の合成が可能であり、従来法に比べて环境调和性に优れた手法である。
本研究により、新しい非天然アミノ酸类の合成手法を确立できました。今回开発した手法が今后広く応用され、より环境调和性の高い医薬品开発へとつながることを期待します。