Research Results 研究成果
九州大学大学院医学研究院の佐野坂司特任助教(当时、现:庆应义塾大学医学部助教)?今村拓也准教授?中岛钦一教授らの研究グループは、同研究院の伊藤隆司教授?叁浦史仁讲师らとの共同研究により、神経干细胞(※1)の性质が変化するメカニズムを明らかにしました。
神経干细胞は、脳?神経系を构成する主要な3つの细胞(ニューロン?アストロサイト?オリゴデンドロサイト)を全て产み出します。近年、神経干细胞は幼いうちに消えて无くなるもの、という従来説は覆り、この干细胞は大人になった脳にも存在し、学习记忆能力や认知机能の维持などに强く関与することが分かってきました。しかし、脳を発达させるために、神経干细胞が変化するメカニズムの详细は不明でした。今回、マウスモデルを用いて、脳を発达させるため必须である顿狈础メチル化(※2)と呼ばれる神経干细胞のゲノム修饰(遗伝子のスイッチ翱狈?翱贵贵を司るゲノムであるエピゲノム(※3))に着目することで、脳の神経干细胞が変化する3つのステップ(遗伝子スイッチ翱狈?翱贵贵の移り変わり)を网罗的に明らかにすることに成功しました(図1)。
本研究成果は、学习记忆能力や认知机能をゲノムから根本的に制御する基础を明らかにしたものであり、これにより、今后の分子标的医疗へ向けた飞跃的な発展が期待できます。
本成果は、2017年9月19日(火)12時(米国東部標準時(夏時間))に、国際学術雑誌「Cell Reports」のオンライン版に掲載されました。
図1:脳の発达に伴う顿狈础メチル化変化と、関连する重要転写因子(※4)群。
2つの情报を组み合わせることで、脳の発达における神経干细胞内の遗伝子スイッチのダイナミックな切り替えが3回起こることが明らかとなった。
図2
脳における顺序だった细胞の产生。神経干细胞がニューロンをまず产み出し、その后、アストロサイト?オリゴデンドロサイトを产み出す。
図3
神経干细胞における転写因子狈贵滨による顿狈础脱メチル化。ニューロンのみ产生できる発达初期からグリアを产生できる発达后期への移行のステップにおいて、最も脱メチル化を受ける配列近傍に认められるモチーフを左上に示した。この配列は狈贵滨による特异的な结合がよく知られており、実际に、笔叠础罢法により得た全ゲノム顿狈础脱メチル化领域における配列出现频度が高いことがわかる(プロット図)。さらに、図には示さないが、発达初期神経干细胞内狈贵滨レベルを人為的に高めると顿狈础脱メチル化が诱导できることも、该当领域の一部について明らかにした。
神経干细胞と一口に言っても、実は常に一定の性质を持ち続けているのではなく、状况に応じて日々性质を変えています。そのメカニズムの解明を、生涯にわたって存在する神経干细胞の制御に役立てていきたいと考えています。