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Research Results 研究成果

男性の育休取得を阻んでいる一因とは? ~間違った思い込みから生まれる心理的壁~

2017.09.20
研究成果Art & Design

 九州大学大学院人间环境学研究院の山口裕幸教授と人间环境学府博士后期课程3年の宫岛健らの研究グループは、日本において20代~40代の男性の多くは「男性の育児休业」を肯定的に捉えているにもかかわらず、同年代の他の男性が抱いている「男性の育児休业」に対する考えを実际よりも否定的に思い込むことが、育児休业の取得を抑制していることを明らかにしました。
 日本における男性の育児休业取得率は、长期にわたって低迷してきました。かつては、「男は仕事、女は家庭」という性役割分业的な価値観が优势でしたが、近年ではそうした考え方が薄れてきていることが示唆されています。男性个々人の価値観は変化しているにもかかわらず、なぜ取得率が伸び悩んでいるのかは十分に理解されていませんでした。
 本研究では、育休取得率の低迷の一因として、社会心理学的现象である「多元的无知」(多くの人々がある特定の価値観や意见を受け入れていないものの、“自分以外の他者はそれを受け入れているのだろう”と误って思い込んでいる状况)に着目し、20代~40代の日本人男性を対象とした飞别产调査によるデータ収集と统计的分析を用いて、男性の育児休业との関连性を検讨しました。
 その结果、多くの男性は自分よりも他者の方が男性の育休に対して否定的だと推测しており(図1)、“自分も他の男性も育休を肯定的に捉えている”と回答した人々(自他ポジティブ群)と、“自分は肯定的だが、他の男性は否定的だろう”と回答した人々(多元的无知群)とで“取得愿望の强さ(どれくらい取得したいか)”に差はみられなかったものの、“実际に子供が生まれたときの取得意図(実际に取得するかどうか)”は、多元的无知群の方が低いことが明らかになりました(図2)。つまり、取得愿望は高いにもかかわらず、他者が育休に否定的だと思い込むことで取得を控えてしまう倾向があると示されました。
 本研究結果は、男性の育休取得率の改善に向けた方略を策定する上で、役立つ知見であると期待されます。日本における男性の育休取得率の低迷に多元的無知が関与しているという新しい視点を与えた本研究は、2017年9月20日(水)午後1時(日本時間)に科学雑誌「Frontiers in Psychology」でオンライン公開(doi:10.3389/fpsyg.2017.01508)されました。

(図1)男性の育児休业における多元的无知

(図2)群ごとの取得意図の违い

研究者からひとこと

社会心理学は日常に潜んでいます。常识に缚られずに物事を违った角度からみつめることで、対象をより深く理解でき、兴味深い事実を発见できるかもしれません。

  • 本研究についての详细は

论文情报

,Frontiers in Psychology,
10.3389/fpsyg.2017.01508

研究に関するお问い合わせ先


人間環境学府 宮島 健