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Research Results 研究成果

霊長類の色覚が、顔色を見分けるのに適していることを証明 ―適応進化の過程の解明に期待―

2017.06.14
研究成果Art & DesignLife & Health

 九州大学大学院芸術工学研究院の平松千尋助教、カルガリー大学人類考古学部Amanda Melin助教、ニューヨーク大学人類学部James Higham助教らの共同研究グループは、霊長類の3色型色覚が、顔色変化の検出に有効であることを初めて実験的に証明しました。
ヒトを含む多くの霊长类は、尝、惭、厂の3つの锥体视细胞により光の波长弁别を行う3色型色覚で世界を见ています。3色型色覚は、赤い果実や若叶を緑の叶の背景から见つけることに适しているため、祖先型である2色型色覚から进化したと考えられています。しかし、果実を见つけること以外でも3色型色覚が有効な场面が考えられ、霊长类の行动や生态学的意义と照らし合わせ、幅広く调べていく必要があります。3色型色覚が有効な场面の候补として、颜色変化などの社会的シグナルの検出が挙げられていました。
 共同研究グループは、霊长类の3色型色覚が、颜色変化の検出に适しているかを実験的に调べました。繁殖期に颜が赤くなるアカゲザルの写真を用い、様々な色覚の见え方を模拟して、ヒト参加者にメスの繁殖期と非繁殖期の颜を见分けてもらいました。その结果、霊长类が持っている尝锥体と惭锥体の波长感度が长波长域に偏った3色型の色覚は、3种类の锥体の波长感度が均等に分布した3色型や、2种类の锥体により色弁别を行う2色型よりも颜色の変化をよく検出できることが分かりました。この结果は、社会的シグナルの検出が3色型色覚の适応的意义の一つであることを里付けるものです。ヒトが颜色から感情を読みとり、健康状态を察知できるのも、霊长类が持つこのような色覚特性のおかげであると考えられます。今后、霊长类进化のどの段阶において、颜色変化が社会的シグナルとして使われはじめたかなど、霊长类の色覚の适応进化の过程に迫ることが期待されます。
 本论文は、学术誌「英国王立协会纪要」オンライン版で2017年6月14日(水)午前0时(英国夏时间)に公开されました。

参考図1
霊长类が持つ3种类の锥体の波长感度の模式図
惭锥体と尝锥体は长波长侧に偏っている。

参考図2
アカゲザル同一个体(メス)の颜
(左:繁殖期、右:非繁殖期)
繁殖期の颜は赤く暗くなる。参考図1のような锥体感度の分布を持つ3色型色覚は、赤色の微细な违いの検出に适していると考えられる。

研究者からひとこと

霊长类学、理论モデル、视覚学など、多様なバックグラウンドを持ち、様々な地域にまたがる研究者らが得意分野を持ち寄り、霊长类の多様な色覚机能の一侧面を共同で探求しました。

论文情报

,Proceedings of the Royal Society of London B,
10.1098/rspb.2016.2458

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