Research Results 研究成果
東北大学材料科学高等研究所(AIMR)の橋本佑介特任助教、齊藤英治教授(兼 金属材料研究所)の研究グループは九州大学大学院理学研究院の佐藤琢哉准教授らと共同で、静磁波の分散関係を簡便に決定する「新しいスピン波の分光法」を開発しました。従来の原子炉を必要とする中性子線や、複雑な検出系が必要な光学手法と異なり、本手法は実験室レベルで実現可能な測定システムを実現します。このシステムによって、スピントロニクス注1に利用される様々な物質におけるスピン波の性質を簡便に測定することが可能になりました。
今回新たに开発した分光法では、高速时间分解磁気イメージングの技术を応用してサブナノ秒の波の変化を电気的に検出して分光すること(フーリエ変换法)に成功しました。この测定手法を用いて、典型的な磁性材料である尝耻2.3叠颈0.7贵别4.2骋补0.8翱12のスピン波を観测したところ、理论的に予想されていた静磁波领域の分散関係がはっきりと确认されました。これにより、実験室レベルで実现可能な静磁波の分光が実现されました。今后このシステムは、様々な物质におけるスピン波の性质を简便に调べることを可能とし、スピントロニクスの発展に贡献すると期待されます。
本研究成果は、2017年6月12日18時(日本時間)に英国科学誌「Nature Communications(ネイチャー?コミュニケーションズ)」のオンライン版で公開されました。
図1:実験セットアップの模式図
図2:测定されたスピン波の伝搬の様子
図3:测定されたスピン波の分散関係
厂奥补罢の実现により、様々な磁性体材料における静磁波の分散関係を、実験室レベルで测定できるようになりました。静磁波の分散関係には物质固有の材料特性(磁気异方性や饱和磁化)や、试料形状の特性(形状磁気异方性)などが反映されます。この手法を用いた物质探索を通じて、スピントロニクス材料の开発に贡献するものと期待されます。