Research Results 研究成果
多彩な成分を含む食品の机能性(保健効果)を単一の含有成分の量や効果の强さといった情报で説明しようとする现状の科学的评価技术には重大な欠点があり、复数の成分の影响を厳密かつ同时に评価することができません。そのため、当初想定された机能性をうまく享受できず、効能を得るために大量摂取するなどの原因にもなっています。
九州大学大学院農学研究院の藤村由紀特任准教授、三浦大典特任准教授、立花宏文主幹教授、早川英介特任助教(現在、沖縄科学技術大学院大学)らを中心とする共同研究チームは、混合物試料中の成分情報を簡便かつ迅速に取得できる質量分析技術(MALDI-MS: Matrix-Assisted Laser Desorption/Ionization-Mass Spectrometry)を構築すると共に、多彩な保健効果が知られている緑茶抽出物の抗酸化活性を、成分組成情報(成分の相対量バランス)から高精度に評価できる計量化学的技法(メタボリック?プロファイリング法)の開発に成功しました。本技法により、複数の含有成分の中から抗酸化活性を高精度に予測できる「成分の組合せ」の簡便な抽出?同定が可能となりました。
今后、本技法の応用により、食品や农产物などの混合物试料の简便な机能性评価、従来法で见落としていた有用成分の発掘、机能性を効果的に享受できる「成分の组合せ」情报を活用した『机能性デザインフード』の开発などに役立つことが期待されます。
本研究成果は、文部科学省イノベーションシステム整備事業「先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム」および科学研究費助成事業の支援によるもので、2017年5月23日(火)午前10時(英国夏時間)に、国際学術雑誌Nature姉妹誌のオンラインジャーナル「Scientific Reports」に掲載されました。
(参考図)新规机能性评価技术「惭础尝顿滨-惭厂メタボリック?プロファイリング法」の概念図
「単一成分」ではなく、「成分バランス」に着目することが、医薬品とは异なり、様々な成分の复合物として摂取される食品の“正味の保健効果”をより正确に把握する上で重要となってきます。机能性を示す「成分バランス(组合せ)」を理论的に导出できる今回の技术は、“机能性を効果的に享受できる食品の开発”や「成分の组合せ」情报を活用した新たな“食べ合わせ”の提案に役立つものと考えています。