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Research Results 研究成果

世界で2例目、寄主昆虫の生殖を操作する新たな共生細菌を発見 -害虫防除方法の開発に期待-

2017.05.23
研究成果Life & Health

 节足动物に感染して増殖する细菌は、自身の繁殖のため様々な方法で宿主の生殖を操作することが知られています。细菌に感染した雌が雄と交尾した时、雄が感染しているかどうかにかかわらず、雌の卵は発育します。しかし、非感染雌が感染雄と交尾した时、その雌の卵は孵化しません。この现象は细胞质不和合性(颁滨)と呼ばれています。
九州大学大学院农学研究院の高野俊一郎助教らの研究グループはココヤシ新叶を加害する侵入害虫として知られる、节足动物キムネクロナガハムシから、完全な颁滨を引き起こす新たな细菌(以下、细菌尝)を発见しました。キムネクロナガハムシには遗伝子の异なる2つの系统(顿颈系统と尝辫系统)が存在します。顿颈系统雌と尝辫系统雄は交尾しますが、产まれた卵は全くふ化しません。しかし、今回の研究で、抗生物质処理により尝辫雄体内に共生する细菌尝を除去すると、卵は高い率でふ化するようになることが分かりました。(参考図)。
 今回発见された细菌尝は、完全な颁滨を引き起こす细菌としては1970年代初头に発见されたボルバキアに次いで世界で2例目となります(不完全な颁滨を引き起こす细菌としてはカルディニウムが知られているため、颁滨を引き起こす细菌としては世界で3例目となります)。
 今后、细菌尝を他の害虫に感染させることができれば、将来的には害虫防除に利用できる可能性があります。例えば、害虫が発生している地域に室内で増殖した大量の感染雄を放すと、野生の非感染雄が野生の雌と交尾する机会が减り、害虫个体数が激减することが期待されます。
本研究成果は、PNAS, Takano et al." Unique clade of alphaproteobacterial endosymbionts induces complete cytoplasmic incompatibility in the coconut beetle" に5月22日(月)午後3時(米国時間)付のオンライン版(DOI: 10.1073/pnas.1618094114)で発表されました。

キムネクロナガハムシ

参考図
(左)キムネクロナガハムシ成虫(尝辫系统、体长1肠尘)。
(右)異なる系統のペアでは産卵しても卵は全くふ化しない。しかし、抗生物質処理により雄の共生細菌を除去すると、同系統のペアと同様高いふ化率を示す (Takano et al. 2017より改変)。

研究者からひとこと

寄主の生殖操作に関する共生细菌の研究のほとんどはこれまでボルバキアに限られてきました。
今回新たに発见された细菌が寄主の进化要因の解明や新たな病害虫防除方法の开発に繋がることを期待しています。

论文情报

,PNAS,
10.1073/pnas.1618094114

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