Research Results 研究成果
ポイント
概要
次世代の形状记忆合金として期待される颁耻-础濒-惭苍系形状记忆合金は、原料が安価で加工しやすく、良好な超弾性を発现することから、耐震用构造材料や医疗用デバイスなど幅広い分野での応用が期待されています。近年、この合金を単结晶化すると大きな形状回復を示すことが报告されていましたが、そのメカニズムは明らかとなっていませんでした。
長崎大学大学院総合生産科学研究科の赤嶺大志准教授(前九州大学大学院総合理工学研究院 助教)と、九州大学大学院総合理工学府修士2年の高松凌氏(研究当時。現株式会社デンソー)、九州大学の西田稔名誉教授、東北大学学際科学フロンティア研究所の許勝助教、東北大学大学院工学研究科の大森俊洋教授、貝沼亮介教授、東北大学国際放射光イノベーション?スマート研究センターの二宮翔助教、西堀麻衣子教授、株式会社古河テクノマテリアル(神奈川県平塚市、花谷健社長)の喜瀬純男博士らの共同研究グループは、電子顕微鏡観察と放射光X線回折測定を通じて、単結晶Cu-Al-Mn合金では多段階のマルテンサイト変態(注4)が生じていることを明らかにしました。また、この多段阶のマルテンサイト変态が进行すると、相変态に伴うエネルギー吸収量が増大することがわかりました。
本研究の成果は、相変态の制御を通じて颁耻-础濒-惭苍系形状记忆合金のエネルギー吸収性能を自在に制御できる可能性を示すもので、制振材料や耐震用の土木?建筑用材料等への幅広い応用が期待されます。
この成果は、2025年4月15日(米国時間)に材料科学分野の専門誌Acta Materialia誌にオンライン公開されました。
用语解説
(注1)超弾性
结晶构造変化を通じて物体が変形し、力を取り除くと元の形に戻る性质。热を加えて元に戻る形状记忆効果とは异なり、室温で元の形状に戻ることができるのが特徴。
(注2)エネルギー吸収性能
材料に力を加えると、一部のエネルギーは材料内で内部摩擦や発热等によって失われ、材料の変形に寄与しない。このエネルギーを吸収エネルギー(散逸エネルギー)と呼び、吸収エネルギーが大きい材料は优れた振动吸収等の効果を発挥する。
(注3)颁耻-础濒-惭苍系形状记忆合金
東北大学 石田清仁名誉教授、貝沼亮介教授、須藤裕司教授、大森俊洋教授らグループによって開発(Kainuma et al. 1996, Sutou et al. 2008)。
(注4)マルテンサイト変态:原子の拡散を伴うことなく、结合を保った原子が集団的に変位する形で进行する相変态。无拡散相変态、変位型相変态とも呼ばれる。
论文情报
タイトル: Successive stress-induced phase transformations with large stress-strain hysteresis in single crystal Cu-Al-Mn shape memory alloys
著者: Hiroshi Akamine, Ryo Takamatsu, Sheng Xu, Toshihiro Omori, Ryosuke Kainuma, Sumio Kise, Kakeru Ninomiya, Maiko Nishibori, Minoru Nishida
掲載誌: Acta Materialia
DOI:
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長崎大学大学院総合生産科学研究科 赤嶺 大志 准教授