Research Results 研究成果
ポイント
概要
颁耻-础濒-惭苍系形状记忆合金は、原料が安価で加工しやすく、高い超弾性(注2)を持つことから、耐震材料や医疗デバイスなど幅広い分野での応用が期待されています。さらに性能を高めるためには合金の原子の并びと配列の変化を详しく知る必要があります。しかしこれまでの技术でこれらを调べることは困难でした。
东北大学と九州大学、株式会社古河テクノマテリアル(神奈川県平塚市、花谷健社长)の共同研究グループは、颁耻-础濒-惭苍系形状记忆合金の原子レベルでの构造変化を解明しました。齿线吸収分光法(齿础厂)(注3)と第一原理计算(顿贵罢)(注4)を用いて、热処理による合金内部の惭苍原子の动きやナノスケールの浓度ゆらぎを観测した结果、惭苍原子の移动が磁気的性质に影响を受け、形状记忆効果をもたらす规则配列构造の形成を促すことを世界で初めて明らかにしました。
今回の成果を受け、今后、この合金が次世代の高机能材料やセンサー技术、再利用可能な建筑材料への応用が期待されるとともに、金属ガラス(注5)や高エントロピー合金(注6)など复雑な金属材料の理解にも贡献すると期待されます。
この研究成果は、2025年4 月11日(米国時間)に材料科学分野の専門誌Journal of Alloys and Compounds誌にオンライン公開されました。
用语解説
注1. 磁気配列
磁石の性质を持つ「スピン(电子の小さな磁石のような性质)」が、物质の中でどのように并んでいるか、という状态を指す。たとえば、スピンが同じ向きにそろっていれば「强磁性(きょうじせい)」、交互に逆向きに并べば「反强磁性(はんきょうじせい)」と呼ぶ。
注2. 超弾性
物体が変形しても力を取り除くと元の形に戻る性质。形状记忆効果とは异なり、室温で元の形状に戻ることができるのが特徴
注3. X線吸収分光法(XAS)
齿线を物质に照射して、その物质の电子状态や局所构造を调べる手法。
注4. 第一原理計算(DFT)
量子力学に基づいて电子の状态を计算し、物质の性质を调べる手法。
注5. 金属ガラス
原子配列が决まっている一般の金属に対し、ガラスのようにアモルファス(非晶质)の金属。
注6. 高エントロピー合金
5种类以上の金属をそれぞれ高浓度で混ぜて合金化した固溶体金属。それぞれの元素が结晶格子の中に配置されることで、元素レベルで混合されエントロピー(乱雑さ)が高い状态となる合金を指す。
论文情报
タイトル:Chemical interactions in Cu-Al-Mn shape-memory alloy during low- temperature aging treatment: XAS and DFT study
著者:Zheyuan Liang, Kakeru Ninomiya, Hiroshi Akamine, Sumio Kise, Minoru Nishida, *Maiko Nishibori *責任著者
掲載誌:Journal of Alloys and Compounds
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長崎大学大学院総合生産科学研究科 赤嶺 大志 准教授