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Research Results 研究成果

木のナノファイバーの构造制御により、ヒト歯髄干细胞の培养に成功

?树木由来のセルロースナノファイバーで目指す歯の再生医疗?
农学研究院
北冈 卓也 教授
2025.04.18
研究成果Life & HealthMaterials

ポイント

  • 歯髄干细胞※1&苍产蝉辫;を用いる歯の再生医疗が注目されているが、象牙质の再生足场は动物由来成分や自家歯材に依存
  • 樹木由来のセルロースナノファイバー(Cellulose nanofiber: CNF, ※2)の表面リン酸化により、ヒトの細胞外マトリックス(Extracellular matrix: ECM, ※3)の形状と特性を模倣した细胞培养基材の开発に成功
  • リン酸基量依存的な干细胞増殖挙动や、分化诱导因子を外添せずに硬组织分化を惹起できることから、歯の再生医疗に向けた新规医用モダリティとしての効果?効能に期待

概要

人生100年時代の健康寿命に直結するう蝕治療において、「歯の再生治療」が注目を集めています。従来法のう蝕部位の充填療法に代わる根本的な治療法として、乳歯?智歯から低侵襲的に入手可能な歯髄干细胞を用いる画期的な方法ですが、再生の足場としてヒト以外の動物コラーゲンや自家歯材を使うなど、多くの課題があります。

今回、樹木由来CNFの表面特異的にリン酸基を導入することで、ヒト歯髄干细胞の培養に成功し、さらに、外来の分化誘導因子を加えることなく硬組織への分化を達成しました。

国立大学法人九州大学大学院生物資源環境科学府の岩﨑瑛大氏(修士課程2年)、劉啓美氏(2023年修士修了)、大学院农学研究院の畠山真由美助教、北岡卓也教授、九州歯科大学の折本愛助教、および岩手大学の福田智一教授らの共同研究グループは、木とヒトに共通するナノ構造である「ナノファイバー形状」と「規則的な多糖界面構造」に着目し、本来細胞接着能力を全く持たない樹木由来のCNFに、結晶構造を保ったまま、バイオミネラリゼーションの足場としてリン酸基を導入することで、すぐれた細胞接着?培養特性と硬組織への分化誘導が惹起される現象を発見しました。

今回の発見は、ヒト歯髄干细胞を用いる歯科治療の可能性を広げるとともに、幹細胞培養基材の新規モダリティとして、天然多糖ナノファイバーからのバイオマテリアル開発に役立つと期待されます。

本研究成果はエルゼビア社の学術雑誌「Carbohydrate Polymers」に2025年4月12日(土)に掲載されました。

研究者からひとこと

木のナノ繊維でつくった基材上で歯髄干细胞の培養に成功。 分化誘導培地を用いずに、硬組織形成が惹起されています。

本研究は、驯染みの深い树木から得られる颁狈贵が、歯の组织にある干细胞の接着や分化を促进できることを発见したものです。研究を通して、天然多糖の新たな可能性だけではなく、研究の难しさや楽しさを学ぶことができました。今后も材料?细胞分野の研究に携わり飞跃したいと考えています。(修士课程2年 岩﨑瑛大)

用语解説

(※1) 歯髄干细胞
一般的に「歯の神経」と呼ばれる歯髄の中にある干细胞で、採取が比较的容易で増殖力が强く、ガン化しにくいなどの特徴から、再生医疗用の细胞源として期待されている。

(※2) セルロースナノファイバー(CNF)
树木や草などの植物の主要成分であるセルロースを、ナノ(1ナノは10亿分の1)メートルサイズまで微细化した天然ナノ素材。&苍产蝉辫;

(※3) 細胞外マトリックス(ECM)
动物细胞の隙间を埋めているタンパク质や多糖类からなる复合体で、细胞の増殖?分化?形质制御に深く関与している。植物细胞壁も「植物の细胞外マトリックス」として、多様な生理机能を担っている。

论文情报

掲載誌:Carbohydrate Polymers
タイトル:Proliferation and differentiation of human dental pulp stem cells on phosphorylated cellulose nanofiber scaffolds
著者名:Akihiro Iwasaki, Mayumi Hatakeyama, Qimei Liu, Ai Orimoto, Tomokazu Fukuda, Takuya Kitaoka
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