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Research Results 研究成果

脂质の酸化が引き起こす细胞死の発生起点を特定

―薬が効きにくいがんに対する治疗法开発にも期待―
薬学研究院
山田 健一 主干教授
2025.04.15
研究成果Life & Health

ポイント

  • フェロトーシス(脂质酸化が引き起こす细胞死)は、がんの新たな治疗标的として期待されていますが、その诱导メカニズムや発生起点の解明が望まれていました。
  • 本研究では、リソソーム(※1)の脂质酸化を起点として、リソソーム内の鉄が细胞全体へ漏出することが、细胞死诱导に重要であることを明らかにしました。
  • フェロトーシス感受性が低いがん细胞に対して、リソソーム鉄漏出を促进することで细胞死を诱导できることから、低感受性を克服する治疗法开発に役立つことが期待されます。

概要

鉄を介した脂質の酸化が誘導する細胞死「フェロトーシス」は、がんの新たな治療標的として期待されています。このフェロトーシスが誘導する過程において、脂質の酸化が細胞内の様々な部位で進行することが知られています。しかしながら、細胞死の誘導を担う场所がどこなのかは未だ議論が続いており、細胞死へと至るメカニズムは解っていませんでした。

九州大学大学院薬学府の斎元祐真博士后期课程学生、同薬学研究院の山田健一主干教授らの研究グループは、昭和薬科大学の唐泽悟教授らおよび岐阜薬科大学の平山祐准教授、东京大学大学院农学生命科学研究科の内田浩二教授らの研究グループと共同で、フェロトーシスの原因となる脂质ラジカルを可视化することで、细胞内小器官リソソームが细胞死の诱导に重要な役割を担うことを见出しました。また、脂质酸化に伴いリソソーム膜が伤つき、リソソーム内の鉄が漏出することで、他の细胞内小器官へ脂质酸化が拡大することを明らかにしました。兴味深いことに、フェロトーシスを起こしにくいがん细胞では、リソソームで脂质酸化は生じるものの、膜损伤には至らないことが分かりました。そこで、リソソーム膜损伤を促进する薬剤クロロキンを组み合わせると、フェロトーシス低感受性のがん细胞においてもフェロトーシスを诱导できることを、培养细胞や动物肿疡モデルを用いて明らかにしました。

今回の発见は、脂质酸化抑制酵素を标的とする従来のアプローチとは全く异なる戦略であり、フェロトーシスを利用したがん治疗法の开発に役立つことが期待されます。

本研究は、英国の国際科学誌「Nature Communications」に2025年4月15日(火)にオンライン掲載されました。

本研究成果の概要

脂质酸化を検出する分子狈叠顿-笔别苍を利用することで、リソソームにおける脂质酸化が细胞死の原因であり、リソソーム内鉄の漏出が细胞死诱导に寄与することを见出しました。また、低感受性细胞に対してクロロキンを処理することで、リソソーム鉄漏出が促され、フェロトーシスを诱导可能になることを明らかにしました。

用语解説

(※1) リソソーム
细胞小器官の1つで、细胞内の不要なごみを処理する场として机能する。また、细胞内の鉄の量を调节する役割もあり、リソソーム内には鉄が多く存在する。

论文情报

掲載誌:Nature Communications
タイトル:Lysosomal lipid peroxidation contributes to ferroptosis induction via lysosomal membrane permeabilization
著者名:Yuma Saimoto, Daiki Kusakabe, Kazushi Morimoto, Yuta Matsuoka, Eisho Kozakura, Nao Kato, Kayoko Tsunematsu, Tomohiro Umeno, Tamiko Kiyotani, Shota Matsumoto, Mieko Tsuji, Tasuku Hirayama, Hideko Nagasawa, Koji Uchida, Satoru Karasawa, Mirinthorn Jutanom, Ken-ichi Yamada
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