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Research Results 研究成果

妊娠中の喘息やストレスが子供の喘息を悪化させるメカニズムを解明

―肺の免疫细胞のエピジェネティックな记忆―
生体防御医学研究所
伊藤 美菜子 准教授
2025.01.21
研究成果Life & Health

ポイント

  • 喘息は世界中で约2亿6000万人以上が影响を受けている重大な健康问题
  • 妊娠中の喘息によって増加するストレスホルモンが产まれてくる子供の喘息リスクを増大させることを世界で初めて発见
  • 妊娠中の喘息やストレスの軽减による子供の喘息リスクの低下に期待

概要

妊娠中の环境要因(喫烟、ストレス、母亲の喘息など)が产まれてくる子供の喘息の発症リスクを高めることが知られています。喘息を含むアレルギー性炎症には2型自然リンパ球(滨尝颁2)(※1)が重要な役割を果たしています。しかし、妊娠中の喘息が胎児の免疫细胞にどのような影响を与え、それが子供の喘息発症にどのように関连しているのかは解明されていませんでした。

九州大学生体防御医学研究所の伊藤美菜子准教授、高尾智彬大学院生らの研究グループは、同研究所の须山干太教授らとの共同研究により、喘息を起こした母亲マウスから产まれた子供では、肺の滨尝颁2の数が増え、アレルギー応答を引き起こす机能も高まることで、喘息が悪化することを発见しました。母亲の喘息により、胎生期および成体の肺の滨尝颁2では共通するエピジェネティック(※2)な変化が维持され、アレルゲン(※3)に対するアレルギー応答が过剰になることが明らかとなりました。母亲が妊娠中にストレスホルモンであるグルココルチコイドに曝されることでも、胎児の肺滨尝颁2に母亲の喘息时と同様の変化が生じて、子供のアレルギー性炎症を増悪させることが分かりました。

今回の発见は、子供の喘息の予防に新たな道を开くものであり、特に妊娠中の母体の健康やストレス管理の重要性を示しています。

本研究成果は 英国の雑誌「Nature Communications」に 2025年 1 月 14日 (火)に掲載されました。

図1. 妊娠中の母体の喘息やストレスが子供の喘息を悪化させるメカニズム

用语解説

(※1) 2型自然リンパ球(ILC2)
免疫システムの一部である自然リンパ球の一种。アレルギーや喘息などの「2型炎症」に関与する。抗原を认识する受容体を持たず、主に気道や肠管などの粘膜组织に存在する。

 (※2) エピジェネティック
顿狈础の配列そのものを変えることなく、遗伝子の働きを调节する仕组み。顿狈础メチル化?ヒストン修饰?クロマチン构造の変化などがある。

&苍产蝉辫;(※3)アレルゲン
アレルギー反応を引き起こす物質。代表例として、食物、花粉、ダニなどがある。OVA(Ovalbumin、卵白アルブミン)鶏卵の卵白に含まれるタンパク質。HDM(House Dust Mite)ハウスダストに含まれるダニ由来のアレルゲン。

论文情报

掲載誌:Nature Communications
タイトル:Maternal asthma imprints fetal lung ILC2s via glucocorticoid signaling leading to worsened allergic airway inflammation in murine adult offspring
著者名:Tomoaki Takao, Ako Matsui, Chie Kikutake, Keiko Kan-o, Azusa Inoue, Mikita Suyama, Isamu Okamoto and Minako Ito
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