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Research Results 研究成果

6600万年前の小惑星衝突がもたらした特殊な海洋环境

メキシコ湾の急速な生命復活はクレーター内の热水活动により駆动されていた
理学研究院
佐藤 峰南 助教
2025.04.08
研究成果Math & DataPhysics & Chemistry

ポイント

  • 白亜纪/古第叁纪境界※1の小惑星衝突によって形成されたチチュルブ?クレーター内での海洋环境変动および生态系の回復条件が未解明
  • メキシコ湾の衝突后の堆积物を用いたオスミウム同位体比(187翱蝉/188翱蝉)※2记録をもとに、クレーター下で発生した継続的な热水活动の証拠を発见
  • 热水中に溶解した栄养塩※3の供给が、衝突地点における生态系の急速な復活?繁栄を促进させた可能性を示唆

概要

今から约6600万年前、メキシコ?ユカタン半岛冲に小惑星が衝突することにより海洋性生物の约70%が絶灭しました。その后、生态系が回復するのに要した期间については、衝突地点において数万年以内と予想以上に早かったことがクレーター内の堆积物の研究から示されていましたが、その原因は不明でした。

九州大学大学院理学研究院の佐藤峰南助教、东京科学大学理学院の石川晃准教授の国际研究グループは、メキシコ湾の堆积物に记録された小惑星衝突后约300万年间の化石层序/オスミウム同位体层序から、衝突后少なくとも70万年にわたってメキシコ湾が半闭锁的な海洋环境を形成し、クレーター直下で発生した热水活动の影响を受けていたことを明らかにしました。さらに本研究では、热水活动を通じてメキシコ湾へと継続的にもたらされた栄养塩が、衝突地点における生态系の回復速度や化石群集の顕着な移り変わりに重要な役割を果たしていた可能性を示しました。

本研究成果は、2025年4月8日(火)午後6時(日本時間)公開の国際学術誌「Nature Communications」に掲載されました。

佐藤助教からひとこと

小惑星衝突后のメキシコ湾は、継続的な热水活动により特殊な海洋环境を形成したことで、外洋域とは全く异なる生态系の回復过程を记録しています。大规模な衝突イベントに伴う生物絶灭?进化プロセスは、古生物学や海洋学だけではなく、地球化学を利用することで见えてくることを知ってもらえたら嬉しいです。

小惑星衝突后のメキシコ湾内の様子

白亜纪末、ユカタン半岛に形成されたチチュルブ?クレーター直下には、衝突エネルギーを热源とした热水活动が生じた。当时はメキシコ湾が半闭锁的であったため、热水から放出される栄养塩が浓缩する环境下にあった可能性が示された。

论文情报

(※1) 白亜纪/古第叁纪境界
今から约6600万年前の白亜纪および古第叁纪の境界を示す地质时代の用语。

 (※2) オスミウム同位体比(187Os/188Os)
オスミウム(Os)は原子番号76番の白金族元素であり、184、186、187、188、189、190、192の7つの同位体が存在し、その同位体同士の比をとったものがオスミウム同位体比。特に、187Os/188Osは地球表層の大陸地殻(187Os/188Os = 1.4)と小惑星物質(187Os/188Os = 0.12)で異なる値を持つことが知られているため、堆積物中に流入した宇宙由来物質の検出に有用である。

 (※3) 栄養塩
海洋科学における用語。通常は、生物生産量をコントロールする可能性のある N?P(リン酸塩態)?Si(珪酸塩態)の塩類を指す。

论文情报

掲載誌:Nature Communications
タイトル:Prolonged 187Os/188Os excursion implies hydrothermal influence after the Chicxulub impact in the Gulf of Mexico
著者名:Honami Sato, Akira Ishikawa, Ignacio Arenillas, José A. Arz, Vicente Gilabert, Philippe Claeys, Steven Goderis, Christopher M. Lowery, Sean P.S. Gulick, Joanna V. Morgan
顿翱滨:

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