Research Results 研究成果
ポイント
概要
现在、酒类醸造の现场では、特定の成分の生成量を调整するための遗伝子组换え技术を清酒酵母に使用することが制限されています。そのため、清酒酵母の育种では、紫外线照射や変异剤処理などでランダムに遗伝子変异を起こした株を作製し、そこから目的の特性を持つ株を选抜する方法が広く用いられています。しかし、この方法では目的とする特性以外の性质も変化してしまう场合も多く、変异株の中から优れたものを选抜するためには、非常に多くの候补株の清酒製造试験を実施して、成分を详细に分析する必要があり、时间と労力がかかることが课题となっていました。
この課題に対して、九州大学大学院农学研究院の竹川 薫教授、木下理紗子氏(博士(社会人)課程1年)ならびに独立行政法人 酒類総合研究所の岩下和裕氏、金井宗良氏からなる研究チームは、メタボローム解析を活用した新しい選抜手法を開発しました。この方法では、親株から得られた多数の遺伝子変異株を少量の合成培地で培養し、菌体抽出物を液体クロマトグラフィー質量分析(LC-Q/TOF-MS)を用いて網羅的に解析しました。その結果、目的とする特性以外の代謝産物の組成が親株に近い酵母を選抜することで、遺伝子組換えを行わずに目的特性だけをピンポイントで改変した酵母株を効率的に得ることが可能となりました。
本研究の结果、3年にわたる研究期间を経て、香気成分や有机酸などの重要な成分の目标をクリアし、実用化に十分な醸造特性を备えた4つのオリジナル酵母の选抜?开発に成功しました。これらの酵母はすでに株式会社喜多屋での商品製造に活用されています。
本研究成果は日本の英文誌「Journal of Bioscience and Bioengineering」に2024年12月2日(月)(日本時間)に掲載されました。
竹川教授からひとこと
これまで日本酒製造では、限られた清酒酵母の选択肢から理想に近いものを选抜することしかできず、酵母育种には多くの制约がありました。本研究で提案された効率的な酵母育种法が普及することで、研究机関や清酒メーカーによる酵母の能力改変がより活発になり、理想的な特性を持つ新しい酵母の开発が加速することが期待されます。
さらに、日本酒の多様化や高付加価値化が进み、国内外での日本酒市场の拡大に大きく寄与する可能性があります。また、独自性のある日本酒の开発を通じて、伝统的な酒造文化を未来へと継承しながら、さらなる発展を支える基盘となることが期待されます。
用语解説
(※1) 清酒のメタボローム解析
清酒に含まれる多様な成分(代谢产物、メタボローム)を鲍笔尝颁-蚕罢翱贵惭厂(超高速液体クロマトグラフィー精密质量分析装置)を用いて一斉分析し、その成分値を用いて统计解析を行うことで、清酒成分の全体像の理解を目的とする解析手法。
论文情报
掲載誌:Journal of Bioscience and Bioengineering
タイトル:Efficient yeast breeding using a sake metabolome analysis for a strain evaluation
著者名:Risako Kinoshita, Muneyoshi Kanai, Kaoru Takegawa, Kazuhiro Iwashita
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