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Research Results 研究成果

アンモニアを温和な条件で合成する高活性な新触媒を开発

炭素フレームにコバルトと助触媒を理想的な状态で内包?安定化
工学研究院
村上 恭和 教授
2024.12.23
研究成果Physics & ChemistryMaterialsEnvironment & Sustainability

ポイント

  • カーボンフリー燃料として期待されているアンモニア注1) を温和な条件で合成する高活性な炭素―非贵金属复合触媒を开発。
  • 助触媒であるバリウムをコバルトと同时に炭素フレーム中に导入することで理想的な化学状态で安定化することに成功した。

概要

名古屋大学大学院工学研究科/未来社会創造機構 永岡 勝俊 教授、カニシュカ デシルヴァ 特任助教、佐藤 勝俊 特任准教授、旭 良司 教授らの研究グループは、九州大学大学院工学研究院 村上恭和 教授、沼津工業高等専門学校物質工学科 稲津 晃司 教授らと共同で、アンモニアを温和な条件で高効率に合成することが可能な新触媒と製造方法を開発しました。

アンモニアはカーボンフリーな燃料として期待されていますが、大量かつ安価に供给するためには、工业的に主流なハーバー?ボッシュ法注2)よりも温和(低温、低圧)な反応条件で合成する必要があるのが现状です。将来的なアンモニア需要、製造プラントの増加を考虑すると、安価な材料で构成され、製造やハンドリングが容易で、高活性な触媒の开発が期待されています。

研究グループは错体重合法と热分解を组み合わせた新しい触媒製造方法を开発し、活性金属であるコバルトと、助触媒であるバリウムを炭素フレームに同时に挿入することで、バリウムを理想的な化学状态である酸化バリウム(叠补翱)として触媒内に分散させることに成功しました。また、计算科学の手法によって叠补翱が炭素フレーム内で安定するメカニズムを明らかにしました。

开発した触媒は従来の触媒と异なり、工业的に容易な低温条件で活性化させることが可能であり、さらにこれまでに报告されている炭素、酸化物系触媒と比べて极めて高いアンモニア合成活性を示すことを见出しました。

本研究の成果は、炭素―助触媒―非贵金属材料を基盘とした触媒设计に新たな指针を与えるものであり、アンモニア合成反応以外への応用も期待されます。

本研究成果は、2024年12月10日(日本時間)付で科学雑誌『Advanced Energy Materials』のオンライン版に掲載されました。

用语解説

注1)カーボンフリー燃料として期待されているアンモニア
石油、石炭、天然ガス等の化石燃料は燃焼时に温室効果ガスである颁翱2を排出するため、その利用に课题がある。一方、アンモニアは燃焼时に水と窒素しか発生しないため、化石资源に変わる燃料としても注目されている。特に日本では石炭との混焼火力発电や、将来的にはアンモニア専焼火力発电が构想されており、2050年顷には3000万?/年のアンモニアが燃料として利用される可能性がある。

注2)ハーバー?ボッシュ法
現在の工業的アンモニア製造プロセスで主流として用いられる方法。1900年代にドイツのフリッツ?ハーバーとカール?ボッシュらが中心となって開発された。鉄を主体とした触媒を用い、水素と窒素を用いて>450?C、>200 気圧)という過酷な条件で運転される超大型プロセスである。多くのプロセスでは水素の製造に天然ガスが原料として用いられるため、CO2排出の面でも课题がある。

论文情报

雑誌名: Advanced Energy Materials
論文タイトル: Realization of Ideal Ba Promoter State by Simultaneous Incorporation with Co into Carbon-protective Framework for Ammonia Synthesis Catalyst
著者: カニシュカ デシルヴァ(名古屋大学)、佐藤勝俊(名古屋大学)、内藤剛大(名古屋大学)、鳥山誉亮(九州大学)、山本知一(九州大学)、麻生亮太郎(九州大学)、村上恭和(九州大学)、パラディープ バラドワージ(名古屋大学)、旭良司(名古屋大学)、稲津晃司(沼津工業高等専門学校)、永岡勝俊(名古屋大学) 
DOI:

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