Research Results 研究成果
ポイント
概要
名古屋大学大学院医学系研究科 糖尿病?内分泌内科学の淺野友良客員研究者、須賀英隆准教授および有馬寛教授らの研究グループは、九州大学 データ駆动イノベーション推进本部の新岡宏彦教授と共同し、ヒトES細胞から視床下部-下垂体へと分化中のオルガノイドの品質を判定するディープラーニングモデルを開発しました。
多能性干细胞は体の様々な组织に分化する能力を持つ细胞です。现在までに数々の分化培养方法が开発され、今后の临床応用が期待されています。その培养方法は高度かつ専门的である一方で、试験管内での分化が上手く进んでいるかどうかの判定は熟练者の経験に委ねられている面があります。
今回开発されたモデルは、分化途中の视床下部で一过性に発现する搁础齿転写因子*3に注目し、その発现の良し悪しを分化途中のオルガノイドの明视野画像*4から推定して品质を判定するモデルです。约70%の精度でオルガノイドのなかの搁础齿転写因子発现を良?中?悪の3群に分类でき、细胞培养に従事する熟练者よりも优れた精度を示しました。さらにこの判定结果は、视床下部-下垂体オルガノイドが最终的に発挥すべき机能である础颁罢贬*5分泌能の良し悪しに直结することが明らかになりました。最终的なオルガノイドの机能をその分化途中の见た目で予测可能なモデルは世界初のものとなります。
本成果により、分化途中のオルガノイドの外観で、望む方向に进んでいるか判定することができるようになると考えられます。また见た目のどこに注目して判定しているか分かるようにしたことから、どういった构造が発生の进展に重要なのか検讨可能になるなど発生学分野に応用されることも期待されます。
本研究は日本医療研究開発機構(AMED)?難治性疾患実用化研究事業(研究課題名:ヒト多能性幹細胞を用いた下垂体前葉機能低下症への再生医療技術開発)、科学技術振興機構(JST)?創発的研究支援事業(JPMJFR200N)、科学研究費助成事業(JP23K08005)、ハーモニック伊藤財団、名古屋大学医学部附属病院先端研究支援経費のサポートを受けて実施され、英国科学誌「Communications Biology」の2024年12月6日付オンライン版に掲載されました。
用语説明
*1) オルガノイド
多能性干细胞や组织干细胞を叁次元で培养して得られる组织。ヒト臓器の一部を再现しており生理机能を有する。再生医疗、创薬、基础研究など様々な分野で活用されている。&苍产蝉辫;
*2) ディープラーニング(Deep Learning)モデル
コンピューターが大量のデータからパターン学习する事によって、データ分析を行う事ができるモデル。人间の神経细胞を模したニューラルネットワークが多层化された构造を持つ。
*3) RAX転写因子
Retina and anterior neural fold homeoboxの略。視床下部や網膜の発生に関わる転写因子。最初に前神経領域に広く発現し、ついで網膜?視床下部?松果体などに限局して発現するようになり、最終的には消失する。
*4) 明視野画像
试料を明るい光で照らし観察する、最も一般的な観察方法。私たちの目で见たときと同じ见え方。蛍光タンパク质を捉えることはできない。
*5) ACTH
Adrenocorticotropic hormoneの略。下垂体前葉から分泌されるホルモンで、副腎皮質から糖質コルチコイドなどのステロイドホルモンの分泌を促進する役割を担っている。生存に必須のホルモンのひとつ。
论文情报
雑誌名:Communications Biology
論文タイトル:A deep-learning approach to predict differentiation outcomes in hypothalamic-pituitary organoids.
著者:淺野 友良、須賀 英隆、新岡 宏彦、湯川 博、榊原 真弓、多賀 詩織、宗圓 美香、三輪田 勤、佐々木 博勇、関 友望、長谷川 咲希、村上 奏、安部 政俊、安田 康紀、宮田 崇、小林 朋子、杉山 摩利子、尾上 剛史、萩原 大輔、岩間 信太郎、馬場 嘉信、有馬 寛
DOI:
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