Research Results 研究成果
ポイント
概要
「热电材料」は、热エネルギーと电気エネルギーを”不可逆的”に変换できる材料として注目を集めています。热エネルギーを电気エネルギーに変换する现象を「ゼーベック効果※1」と呼び、これまで利用されずに捨てられていた热エネルギー、つまり”廃热”を电気エネルギーに変换できるクリーンな発电方法であることを意味しています。高効率な热电材料を実现するためには、対象となる热电材料にはもともと含まれない「第叁の元素」を添加することで热电特性を高めるという手段が有効です。特に热电材料の开発では、元素添加を通して热伝导度を低减させて、热电変换効率を向上させるという戦略をとります。したがって、元素添加された热电材料に含まれる第叁の元素が材料中において原子スケールでどのように分布しているのかを知ることは、热电特性の向上のメカニズムを解明することに繋がります。しかし、原子スケールで添加元素の空间分布を特定することは、高い计测技术と解析技术を必要とするため、これまでの热电材料に関する研究では、その详细は明らかにされていませんでした。
今回、九州大学大学院工学研究院(クイーンズランド大学?博士课程研究生)の川见洋一郎学术研究员(论文执笔当时)、および山本知一助教、吉冈聡助教、村上恭和主干教授、松村晶教授(研究当时)らの研究グループは、最先端の电子顕微镜技术と情报科学的手法(微弱信号の抽出技术)を组み合わせることにより、铜添加されたテルル化スズという热电材料に存在する铜原子の位置を原子スケールで特定することに成功しました。また、计算化学シミュレーションによる検証も行うことで、なぜ铜原子が実験で観测された位置に存在できるのかを理论的に明らかにしました。铜原子は、従来考えられていたスズサイトに存在するだけでなく、スズとテルルが作る结晶格子の隙间にも格子间原子※2として存在することが判明し、テルル化スズの热伝导度の低减とそれに伴う热电効率の向上に贡献していることが示唆されました。このように、铜原子の添加によるテルル化スズの热电特性向上に関するメカニズムが、超顕微解析研究センターの最先端の电子顕微镜によって视覚的に明らかになりました。
本研究の成果は2024年10月04日(金)発行のWileyの国際学術誌「Advanced Materials」オンライン版で公開されました。
走査型透过电子顕微镜によって抽出された铜添加したテルル化スズに含まれる3种の元素(スズ、テルル、铜)の元素マップ。上部の画像は生データに対応し、ノイズレベルが高くテルル化スズの结晶格子は明瞭ではありません。一方、下部の画像は格子平均法によってノイズレベルが低减されたことで、テルル化スズの格子が明瞭になっただけでなく、格子间原子となった铜原子も明瞭に确认されました。
用语解説
※1 ゼーベック効果
材料に温度差を与えると、その温度差に比例した起电力が発生するという热电効果の1つ。ゼーベック効果による起电力は、ゼーベック係数という指标によって评価することができます。ゼーベック係数が高い材料は、高い起电力を示す材料といえるため、高いゼーベック係数を示す热电材料を探索することが求められます。&苍产蝉辫;
※2 格子间原子
固体材料の结晶格子において、本来の原子位置ではなく、それらの隙间に存在する原子のこと。格子间原子の代表的な例は、鉄の结晶格子の隙间に存在する炭素原子です。格子间原子としての炭素を含む鉄は钢と称され、鉄よりも机械的特性が大幅に向上されます。本研究では、テルル化スズの结晶格子の隙间に铜原子が格子间原子として存在することが直接确认されて、同材料の热伝导度が大幅に低下したことに贡献していると考えられます。
论文情报
掲載誌:Advanced Materials
タイトル:Cu-Atom Locations in Rocksalt SnTe Thermoelectric Alloy
著者名:Youichirou Kawami, Xuan Tran Quy, Tomokazu Yamamoto, Satoru Yoshioka, Yasukazu Murakami, Syo Matsumura, Kazuhiro Nogita, Jin Zou
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