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Research Results 研究成果

室温程度の环境热を活用した新机构有机热电デバイスの开発に成功

有机エレクトロニクスが切り拓くクリーンエネルギー発电
工学研究院
安达 千波矢 教授
2024.09.20
研究成果Physics & Chemistry

ポイント

  • 现在、再生可能なエネルギー源や未利用のエネルギー源の有効利用が世界中で広く求められているが、廃热を利用した热电変换デバイスの利用は限定的
  • 室温程度の热(フォノン)を用いて电荷?电子移动に変换することに成功
  • 温度勾配のない室温で小规模な热エネルギーを取り出す新しい発电メカニズムを提供

概要

 九州大学、九州先端科学技术研究研、フランス国立科学研究センター(颁狈搁厂)、(株)骋颁贰インスティチュート(骋颁贰滨)の研究グループは、有机电荷移动(※1)错体を活用した新しい発电机构に基づく有机热电デバイスの开発に成功しました。
 従来の热电素子は、ゼーベック効果(※2)を利用した発电机构に基づいていますが、今回、九州大学最先端有机光エレクトロニクス研究センター(翱笔贰搁础)?安达千波矢教授らが开発したデバイスは、有机辫苍接合(※3)のアーキテクチャーを基礎に、有機電荷移動(CT: charge transfer)界面における電荷分離(CT励起子解離)を熱(フォノン)で実現し、さらに、隣接する電荷輸送層間の電荷拡散?移動を実現することで、電子とホールをそれぞれ対極に取り出すことに成功しました。本デバイスは、タンデム型OLED(有機EL)(※4)构造における电荷発生机构、热活性化遅延蛍光(罢础顿贵)材料(※5)における励起子の热励起机构、有机太阳电池における电荷分离机构を融合した技术です。
 現在、再生可能なエネルギー源や未利用のエネルギー源の有効利用が世界中で広く求められています。廃熱を利用した熱電変換デバイスは一部実用化されているものの、毒性の高い材料を使用すること、使用する貴金属が高価であること、温度勾配を形成するための設置スペースが限られているなどの問題があり、その利用は限定的です。本研究では、日常生活環境において室温で存在する数10 meV程度の微小熱エネルギーに着目し、有機CT界面の電荷分離機能、有機薄膜中の電荷拡散、およびフェルミ準位(※6)の整列によって駆动される有机ヘテロ界面でのキャリア移动现象を利用した、新しい动作メカニズムを开発しました。
 本研究成果は、2024年9月19日(木)午前10時(中央ヨーロッパ時間)に科学雑誌「Nature Communications」誌にて公開されました。

研究者からひとこと

本研究の開発に従事した研究者:(上段左から)中野谷一(九大准教授)、藤原隆(GCEI)、八尋正幸(ISIT)、安達千波矢(九大教授)、Fabrice Mathevet(CNRS)、(中段)亀山真奈(九大院生)、下段左から、近藤駿(当時:九大院生、現在:住友化学)、今岡健太郎(当時:九大院生、現在:University of G?ttingen博士課程)

 安達千波矢教授:九大OPERAでは、これまで、OLEDの科学技術を中心に、新しい機能分子の開発、異種界面やバルクにおける電荷移動?輸送現象、薄膜中における特異な分子配向現象の解明、さらに、最近では画期的な次世代発光分子であるTADF分子の開発を進めてきました。本研究では、これまでの研究開発を統合することで、新たなCT機能を活用した有機熱電機能の開発に成功しました。熱エネルギーは数10 meVの小さなエネルギーですが、このような微小エネルギーを電気に変換できたことは、今後、温暖化が進む地球にとって、新たなエネルギー変換のツールを提供したと考えています。今後、安定性を含めたデバイス性能の向上を図り、実用化への道筋をつけていきます。

用语解説

(※1) 有機電荷移動(CT: charge transfer)錯体
分子间の电荷移动によって结合力を生じた分子化合物をいう。电子供与体(ドナー)から、电子受容体(アクセプター)への电子移动が起こり、分子が静电的に引きつけられて形成した错体。

(※2)ゼーベック効果
异なる金属または半导体の両端に温度差を与えるとその両端间に电位差(起电力)が生じる効果。

(※3) pn接合
辫型半导体と苍型半导体を接合することで、界面において両层のフェルミ準位が一致するまで电子移动が生じ、これにより电荷分离の駆动力が形成される。

(※4) タンデム型OLED(有機EL)構造
複数の発光層を電荷発生層(CGL:charge generation layer)を介して積層したOLED。2層構造が一般的。駆動電圧は増加するものの、同一電流密度で発生できる光子を倍にできるので高輝度を得やすい。また、青色と黄色の発光層をタンデム化することで白色光を得ることができる。

(※5) 熱活性化遅延蛍光(TADF)材料
励起状态の一重项状态および叁重项状态のエネルギー差が室温のエネルギー程度よりも小さく、効率的な项间交差を示す発光分子。电気励起により生成する叁重项励起子を一重项励起子に変换し、100%の励起子利用効率を実现する。

(※6) フェルミ準位
种々のエネルギーを持つ物质内の电子が、ある温度で占有确率が0.5になるエネルギー準位。

论文情报

タイトル:Organic Thermoelectric Device Utilizing Charge Transfer Interface as the Charge Generation by Harvesting Thermal Energy
著者名:Shun Kondo, Mana Kameyama, Kentaro Imaoka, Yoko Shimoi, Fabrice Mathevet, Takashi Fujihara, Hiroshi Goto, Hajime Nakanotani, Masayuki Yahiro, and Chihaya Adachi
掲載誌:Nature Communications
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