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Research Results 研究成果

マイクロ波を用いて脂肪酸エステルを効率的に低级オレフィンに変换

マイクロ波による脱炭素化触媒プロセスの构筑に贡献
农学研究院
椿 俊太郎 准教授
2024.08.26
研究成果Environment & Sustainability

ポイント

  • 廃食用油や微细藻类由来のオイルの有効利用が望まれる
  • マイクロ波(※1)を用いて脂肪酸エステルを効率的に低级オレフィンに変换する触媒反応を开発
  • ナフサに代わる、バイオマス由来の低级オレフィン製造に期待

概要

マイクロ波によるナトリウム型ゼオライト触媒を用いた高选択的なエチレンおよびプロピレンの製造の概念図

 原油からナフサを経由して製造されるエチレンやプロピレンなどの低级オレフィンは、プラスチックをはじめとする様々な製品の原料として重要な基干化合物です。一方、脱炭素化社会の実现に向けて、廃食用油や微细藻类由来のオイルなどの再生可能なバイオマス资源から低级オレフィンを製造する新しい触媒反応の开発が求められています。
 九州大学大学院生物資源環境科学府食品製造工学研究室 修士課程2年の大田駿介氏、九州大学大学院农学研究院の椿俊太郎准教授、井倉則之教授、九州大学大学院総合理工学研究院の永長久寛教授、株式会社レゾナックの手塚記庸氏、佐藤孝志氏、高エネルギー加速器研究機構の君島堅一特別准教授、木村正雄教授および東北大学大学院工学研究科の福島潤助教の研究グループは、電子レンジにも用いられるマイクロ波加熱を用いて脂肪酸エステルを効率的に低级オレフィンに変换する触媒反応を开発しました。ゼオライト(※2)触媒はもともとマイクロ波で加热されにくい材料ですが、窜厂惭-5と呼ばれるゼオライト触媒にナトリウムイオンを导入することで、マイクロ波による加热されやすさを向上しました。さらに、狈补型窜厂惭-5は、炭素析出や芳香族化などの副反応を抑制し、低级オレフィンが高选択的に得られることを発见しました。放射光(※3)施設 高エネルギー加速器研究機構フォトンファクトリーにてマイクロ波照射中のゼオライト触媒の構造を「その場」でX線回折(※4)测定することにより、ゼオライト上に局所的な高温の反応场が形成され、反応が促进することを突き止めました。
 本研究成果はElsevierの「Chemical Engineering Journal」誌に2024年8月10日(土)(日本時間)にオンライン掲載されました。

研究者からひとこと

 家庭用の电子レンジにも用いられるマイクロ波加热は、物质を効率的かつ高速に加热できます。さらに、普及が进む太阳光や风力など再生可能エネルギーに由来する电気エネルギーを効率的に用いた化学プロセスの「产业电化」によって、脱炭素化に贡献することが期待されています。

用语解説

(※1) マイクロ波
周波数が300 MHz~30 GHzの電磁波の一種で、通信(携帯電話、Wi-Fiなど)やレーダーとして広く利用される。2.45 GHzや5.8 GHz の特定の周波数は、家庭用電子レンジや産業用加熱装置としても利用される。

(※2) ゼオライト
结晶性アルミノシリケートであり、分子ふるい作用と、固体酸としての性质がある。石油化学系の触媒プロセスや、アルコールの脱水、水の浄化、洗剤などにも用いられる。

(※3) 放射光
加速器によって、ほぼ光の速度に加速された电子や阳电子から方向を揃えてつくられる光。放射光を用いて、物质の构造解析、材料の创出、半导体などの超微细加工、新薬の创出に向けたタンパク质の构造解析などの计测が行われる。

(※4) X線回折
X線の回折パターンから物質の結晶構造を解析する手法。一般的な実験室では、銅(Cu kα)の特性X線(1.5418?)が用いられる。放射光施設では、任意の波長のX線を用いたX線回折測定が可能。

论文情报

掲載誌:Chemical Engineering Journal
タイトル:Microwave-enhanced catalytic conversion of fatty acid ester to olefins by Na-ZSM-5
著者名:Shunsuke Ota, Jun Fukushima, Ken’ichi Kimijima, Masao Kimura, Noriyuki Igura, Noriyasu Tezuka, Takashi Sato, Hisahiro Einaga, Shuntaro Tsubaki
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