Research Results 研究成果
ポイント
概要
人体と微生物の共生関係解明は生命活动机构を纽解く重要な要素の一つです。近年、顿狈础を用いた解析法により、ヒト毛髪表面で常在菌が発见され细菌丛や定着様式が解明されました。一方で、栄养源は情报が乏しく头皮からの皮脂や汗の供给が毛髪细菌の栖息に重要であることが示唆されていましたが、定量的な炭素资化性の评価は分离菌を用いる必要があるため不明とされていました。
九州大学大学院农学研究院の田代幸寛准教授、大城麦人助教、酒井謙二名誉教授、山田あずさ学術研究員、西悠里大学院生(当時)、野口芽生大学院生ならびに東京農業大学応用生物科学部の渡邉康太助教らの研究グループは、毛髪からの細菌分離法確立により24培養条件から27属63種の分離菌を獲得し、一部の毛髪細菌が貧栄養および脂質添加条件により生育促進を示しました。さらに、汗含有のグルコースや皮脂含有のグリセロールおよび広範なヘアケア剤含有のマンニトールの資化性を示すことを初めて詳細に明らかにしました。特に優占な毛髪細菌Cutibacterium acnes subsp. defendensおよびC. acnes subsp. acnes毛髪分離株は標準株で資化性の無いマンニトールの資化性を有することから、毛髪環境で棲息有利な資化性を獲得した可能性が示唆されます。
今回の研究成果は宿主から毛髪细菌へ栄养供给の証拠を见出しました。さらに获得した分离株をヒト毛根への作用分析に用いることで毛髪细菌とヒトとの関係性解明に応用でき、将来的には细菌丛を考虑した毛髪化粧品开発に期待されます。
本研究成果は、2024年7月21日に日本の英文誌「Journal of Bioscience and Bioengineering」にオンライン掲載されました。
研究者からひとこと
毛髪は人类にとって直接生命に関わる部位ではありませんが、个人の印象や他者とのコミュニケーションを助长する重要な役割を果たします。毛髪分野は多くの人の関心が高い一方で、毛髪×微生物学の研究は発展段阶であり未解明なことが多い分野です。乳酸菌の研究から肠内环境を気遣う考えが一般化したように、ヘアケア时に毛髪微生物を気遣う人が増えるよう今后も研究を発展させたいと思います。
用语解説
(※1) 常在菌
ヒトの身体に存在する微生物(细菌)のうち、年间を通して安定して万人に共通し存在し着しい病原性を示さないものを指す。
(※2) 標準株
その生物种を新种记载する际の拠り所となった细菌株であり、纯粋培养された生菌株を指す。
论文情报
掲載誌:Journal of Bioscience and Bioengineering
タイトル:Isolated hair bacteria reveal different isolation possibilities under various conditions
著者名:Azusa Yamada, Yuri Nishi, Mei Noguchi, Kota Watanabe, Mugihito Oshiro, Kenji Sakai and Yukihiro Tashiro
顿翱滨:10.1016/箩.箩产颈辞蝉肠.2024.06.003
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