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Research Results 研究成果

海洋プラスチック汚染の进行を防ぐ流出プラスチックの削减目标を提案

大阪ブルー?オーシャン?ビジョンの実现には世界平均で32%の削减が必要
応用力学研究所
磯辺 篤彦 教授
2024.08.09
研究成果Environment & Sustainability

ポイント

  • どの程度までプラスチックごみの海洋流出量を削减すべきか、これまで科学的な里付けを伴った数値目标は提案されていなかった。
  • 世界の河川から流出したプラスチックごみを追跡するコンピュータ?シミュレーションによって、海洋や海岸に到达するプラスチックごみやマイクロプラスチック(※1)の重量を求めた。
  • 2050年までに追加的な海洋プラスチック汚染をゼロにする(大阪ブルー?オーシャン?ビジョン)ためには、2035年までに世界平均で、2019年における流出重量の32%を削减する必要がある。

概要

 2019年6月に开催された大阪骋20サミットにおいて、2050年までに追加的な海洋プラスチック汚染をゼロにまで削减する「大阪ブルー?オーシャン?ビジョン」が提案されました。しかし、これを実现するため、どの程度までプラスチックごみ量の海洋流出を削减すべきか、これまで具体的な数値目标は明らかではありませんでした。
 本研究は、世界で初めて、海洋流出するプラスチックごみの削减数値目标を提案するものです。本研究では、大阪ブルー?オーシャン?ビジョンの実现のため、2035年までには、世界平均で2019年の年间流出量の32%を重量ベースで削减する必要があると推定しました。
 九州大学 応用力学研究所の樋口千紗 学術研究員と磯辺篤彦 教授は、極海を除く全世界の表層海洋を対象として、世界の河川から流出したプラスチックごみの行方を追跡するコンピュータ?シミュレーションを行いました。ここでは、海洋に浮遊するプラスチックごみと海岸に漂着するプラスチックごみ、そしてこれらが破砕してできた浮遊マイクロプラスチックと、海岸漂着マイクロプラスチックを対象としています。コンピュータ?シミュレーションの結果を解析することで、世界の各河川から流出し、世界の海域や海岸へ到達する、プラスチックごみやマイクロプラスチックの重量を求める確率分布モデルを作成しました。このモデルを利用することで、異なる流出シナリオに対応する海洋や海岸でのプラスチックごみ重量や、マイクロプラスチックごみ重量の将来予測が可能となりました。
 本研究によって初めて、海洋プラスチック汚染を防ぐため社会が取り组むべき施策に目标値が设定されたと言えます。使い捨てプラスチックごみの使用制限や、廃弃量の削减、リサイクル率の向上、あるいは軽量素材开発に向けたイノベーションなど、有効な対策の组み合わせによって、この32%削减目标を达成することが期待されます。
 本研究成果はエルゼビア出版のMarine Pollution Bulletin誌にて2024年8月9日にオンライン?リリースされました。

研究者からひとこと

プラスチックごみの海洋流出量削减シナリオに応答した、浮游マイクロプラスチック量の変化予测

科学的なエビデンスに基づいて、効果的な廃弃プラスチック削减策が、広く社会に定着することを望みます。海洋プラスチック问题について科学的な知见が深まれば、数値目标もアップデートすることが予想されます。今后とも海洋プラスチック汚染の軽减に资する研究を进めてまいります。

用语解説

(※1) マイクロプラスチック
环境に流出したプラスチックごみが、紫外线による劣化などを経て次第に破砕し、サイズが5尘尘以下となったもの

论文情报

掲載誌:Marine Pollution Bulletin, 116791, 2024
タイトル:Reduction scenarios of plastic waste emission guided by probability distribution model to avoid additional ocean plastic pollution by 2050s
著者名:Higuchi, C., A. Isobe
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お问い合わせ先


応用力学研究所 樋口千纱 学术研究员