Research Results 研究成果
ポイント
概要
エルニーニョ现象は地球规模の大気の流れを変え、世界中で异常気象や异常天候を引き起こします。过去の観测データに基づく统计から、エルニーニョ発生年に日本は暖冬になりやすいことが知られており、2023/24年の暖冬はまさにその倾向に当てはまるものでした。しかし、2014/15年のエルニーニョ発生时の记録的な寒冬のように、エルニーニョ発生年に日本が寒冬になった事例も少なくなく、どのような仕组みがエルニーニョ発生年の暖冬と寒冬を决定づけているのかは未解明でした。
九州大学応用力学研究所の塩崎公大 学術研究員、時長宏樹 教授、森正人 助教の研究グループは過去61年間の天候を100通りも再現した大規模な数値シミュレーションデータを解析し、夏から冬にかけてのエルニーニョ現象の発達が早く進行するか遅く進行するかという違いが、その年の冬に日本が暖冬傾向になるのか寒冬傾向になるのかを大きく左右していることを発見し、その仕組みを解明しました。
夏の早い时期から强いエルニーニョ现象が発达すると、热帯インド洋の海面水温も大きく上昇します。それらの相乗効果によって、フィリピン东方冲の活発な降水活动が抑制されます。この降水活动の抑制は日本の南东冲で高気圧を形成し、偏西风を大きく北侧へ蛇行させます。これによって、日本を含む东アジア域への寒気の吹き出しが弱くなるため、暖冬が起こりやすくなります。逆に、エルニーニョ现象が発生したとしても、その発达の进行が遅いと热帯インド洋の水温上昇は大きくなりません。それに伴って、フィリピン东方冲における降水活动もわずかにしか抑制されないため、日本の南东冲の高気圧は形成されません。一方、北太平洋上の低気圧が日本付近にまで张り出すことによって、西高东低の冬型の気圧配置と寒気の吹き出しが强化され、むしろ寒冬倾向になりやすくなります。
本研究の発见は、数値シミュレーションモデルにおけるエルニーニョ现象やインド洋変动との连动性をより良く再现することにより、3ヶ月予报などの季节予测の精度向上に贡献すると期待されます
本研究成果は、米国気象学会の国際科学誌「Journal of Climate」オンライン版にて2024年4月26日に早期公開されました。
エルニーニョ発生年に暖冬(上)と寒冬(下)になる仕组みを説明する模式図。大気と海洋の平年状态からのずれを暖冬倾向と寒冬倾向に分けて表しています。インド洋の水温上昇と、偏西风が日本の东侧で大きく北侧に蛇行するかどうかが暖冬と寒冬を大きく左右します。
用语解説
(※1) エルニーニョ現象
赤道东部太平洋域における海面水温の顕着な昇温现象のこと。贸易风とよばれる东から西へ吹く风が弱まることによって発生し、终息するまで1?2年ほど持続します。エルニーニョ现象が発生している时には、豪雨による洪水や干ばつ、高温や低温などの异常気象や异常天候が世界中で现れやすいことも知られています。
论文情报
掲載誌:Journal of Climate
タイトル:
著者名:Masahiro Shiozaki, Hiroki Tokinaga, and Masato Mori (塩崎公大、時長宏樹、森正人)
顿翱滨:10.1175/闯颁尝滨-顿-23-0627.1
研究に関するお问合せ先
応用力学研究所 学术研究员
応用力学研究所 教授