Research Results 研究成果
ポイント
肝细胞は単层培养下で脱分化(※1)しますが、その详细は不明です。
概要
肝細胞は肝臓で重要な役割を担っていますが、培養するとすぐに機能を失い、肝前駆細胞様の細胞へ脱分化します。このユニークな特徴は40年以上も前から知られていますが、「脱分化」とは一体どういう状態なのか、そしてそのメカニズムや脱分化した肝細胞(dedifferentiated hepatocyte: dediHep)の特性はどういったものなのか、という疑問に対する明確な答えは得られておりません。
九州大学生体防御医学研究所の铃木淳史教授、叁浦静助教らの研究グループは、同研究所の大川恭行教授との共同研究により、培养下における肝细胞脱分化の実态とそのメカニズムの解明、并びに肝细胞が肠上皮细胞への分化能を有するという未知の能力の発见に至りました。本研究では、铃木教授らが以前の研究で开発した肝前駆细胞専用の细胞培养系を用いて成体マウス肝细胞の脱分化について研究を行いました。その结果、贬颈辫辫辞シグナル伝达経路(※2)の阻害が肝细胞の脱分化には必须であり、肝细胞は上皮细胞と间叶系细胞のハイブリッド状态になることで脱分化状态を维持し、间叶系细胞マーカーであるビメンチン依存的に増殖を行うことが判明しました。肝细胞の脱分化によって生まれた诲别诲颈贬别辫は、叁次元浮游培养下で凝集体を形成することで成熟肝细胞へ再分化し、高チロシン血症1型(※3)モデルマウスの肝臓へそれらを移植すると肝臓组织を再构筑することが可能でした。また、诲别诲颈贬别辫は叁次元マトリゲル培养下で肠上皮オルガノイド(※4)を形成し、大肠炎モデルマウスの大肠へそれらを移植すると大肠上皮组织を再构筑できることも判明しました。
肝細胞が有するこの驚くべき可塑性の発見は、肝臓の全容を理解するための「肝臓学」の発展に貢献するだけでなく、腸上皮化生などの関連疾患の研究や治療に役立つと期待されます。本研究成果は、2024年5月15日(水)午後6時(日本時間)に英国科学雑誌『Nature Communications』に掲載されました。
用语解説
(※1) 細胞の分化と脱分化
细胞がある特定の形状や机能を获得することを分化といい、それらを失って未分化状态になることを脱分化といいます。
(※2) Hippoシグナル伝達経路
细胞増殖や细胞死を调节することで臓器?组织のサイズを制御するシグナル伝达経路。
(※3) 高チロシン血症1型
フマリルアセト酢酸ヒドラーゼを欠损することで発症する遗伝性疾患であり、肝臓や肾臓の机能障害をもたらします。
(※4) オルガノイド
主に叁次元培养下で细胞を培养することで形成される、臓器や组织を模した构造体。
论文情报
掲載誌:Nature Communications
タイトル:
著者名:Shizuka Miura, Kenichi Horisawa, Tokuko Iwamori, Satoshi Tsujino, Kazuya Inoue, Satsuki Karasawa, Junpei Yamamoto, Yasuyuki Ohkawa, Sayaka Sekiya, Atsushi Suzuki
顿翱滨:10.1038/蝉41467-024-47869-2
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