Research Results 研究成果
九州大学大学院薬学研究院の阿部義人准教授、植田正教授、産業技術総合研究所生命工学領域バイオメディカル研究部門の峯昇平博士らの共同研究グループは、軟骨の成分で知られているグルコサミンを生成するエキソ-β-D-グルコサミニダーゼ (GlmA)の立体構造を明らかにし、これまでアミノ酸配列情報からだけでは不明であった活性部位を特定し、GlmAがなぜグルコサミンを生成できるのかを明らかにしました。また、GlmAの立体構造が別酵素であるガラクトシダーゼに似ていることを示した為、これらのガラクトシダーゼが古細菌由来のGlmAから分子進化した可能性がある事が分かりました。
好热性古细菌由来の骋濒尘础は、キチナーゼやデアセチラーゼと共にバイオマス资源であるキチン(エビやカニの甲罗の构成成分)をグルコサミンまでに分解する糖质分解酵素群の1つであり、100℃でも安定な酵素です。最终生成物のグルコサミンは食品添加物、医薬品に利用されており、その产业応用が期待されています。これらの结果から、酵素机能変换によりキチン分解反応の効率を高め、今后のグルコサミンの高生产化に寄与することが期待されます。
本研究成果は、3月24日(金)に米国の国際学術誌『The Journal of Biological Chemistry』に掲載されました。
好热性古细菌のキチン代谢経路
Thermococcus Kodakarensis由来のエキソ-β-D-グルコサミニダーゼ (GlmA)と基質グルコサミン(青)との複合体の結晶構造(PDBID:5GSM)
酵素の立体构造を解くことで、活性部位、基质の配置、分子进化などの情报が得られます。また、この立体构造を元に、医薬品原料等の创生に有益な酵素のデザインにつながる可能性もあります。