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Research Results 研究成果

オルガノイド技术により膵がんのサブタイプ分类と予后予测に成功

膵がん治疗の最适化と新たな治疗法の开発に期待
九州大学病院
小川 佳宏 主幹教授
2024.04.30
研究成果Life & Health

ポイント

  • 膵がん诊断时の内视镜生検検体から効率よくオルガノイドを树立する方法を确立した
  • オルガノイドの形态分类から膵がんのサブタイプ分类と治疗効果の予测が可能になった
  • &苍产蝉辫;膵がんに対する最适な治疗薬の选択が可能になり、个别化医疗の実现が期待される

概要

膵がんは诊断时に远隔転移を有することが多く、最も予后が悪いがんとされています。临床経过も様々であり、抗がん剤などの治疗効果を事前に予测することは困难です。近年、オルガノイド(※1)技术が目覚ましい进歩を遂げていますが、膵がん患者の生検検体からオルガノイドを作製し、治疗薬の选択につなげる试みはありませんでした。

九州大学大学院医学研究院の小川佳宏主干教授、藤森尚讲师、松本一秀?学院?らの研究グループは、同临床?肿疡外科の中村雅史教授(九州大学病院长)、形态机能病理学の??义直教授、同大学生体防御医学研究所の中山敬一教授(现东京医科歯科大学特别栄誉教授)らとの共同研究により、膵がん患者の诊断时の内视镜生検(※2)検体を用いて膵がんオルガノイドを树立し、その形态分类と网罗的遗伝子発现解析(※3)の结果から、がんの特徴を反映するサブタイプ(※4)を1-2週间という短期间で见极めることに成功しました。この形态分类は抗がん剤の治疗効果と良く相関しており、予后を予测できることが初めて明らかになりました。

実际の临床现场では、がん组织の遗伝子検査の结果を考虑して、患者さんに治疗薬を投与するには2ヶ月前后かかるという大きな课题があります。本研究により明らかにしたオルガノイド技术による迅速なサブタイプ分类と治疗効果予测は、このタイムラグを解消し、最适な治疗薬を迅速に投与する个别化医疗の実现の足掛かりになることが期待されます。

本研究結果は「Journal of Gastroenterology」誌に2024年4?30?午前0時(日本時間)に掲載されました。

研究者からひとこと

膵がんオルガノイドの树立に成功し、治疗薬选択につながるサブタイプ分类が可能になりました。今回の研究成果を临床现场に届ける「桥渡し」研究により、膵がんの个别化医疗による予后改善を目指します。

用语解説

(※1) オルガノイド
元となる臓器やがんなどの性質を精密に再現できる3D培養法のこと。日本语に直訳すると「臓器もどき」。従来の培養皿(2D)による細胞培養では一部の特殊な細胞しか培養できないが、培養液の成分や培養環境を生体に近づけることにより、多くの臓器やがんが培養で再現できるようになった。移植医療などへの臨床応用も期待されている。

(※2) 内視鏡生検
胃カメラや大肠カメラなどの内视镜を用いてがんなどの一部を採取すること。2010年以降、胃カメラの先端にエコーを备えた特殊な内视镜と専用の穿刺针を组み合わせた超音波内视镜により、多くの膵がん症例で正确な诊断ができるようになった。

(※3) 網羅的遺伝子発現解析
数万个の遗伝子の発现挙动をまとめて解析する技术。一度の解析で膨大な遗伝子発现情报が得られるため、その中から必要な情报を解析し、细胞や组织の特徴?状态などを知ることができる。

(※4) サブタイプ
がんにおけるサブタイプとは、遗伝子やタンパク质の発现状态を踏まえて分类されたものを指す。膵がんでは上述の网罗的遗伝子発现解析による特定の遗伝子群の発现状态により分类されている。

 

论文情报

掲載誌:Journal of Gastroenterology
タイトル:Patient-derived organoids of pancreatic ductal adenocarcinoma for subtype determination and clinical outcome prediction
著者名:Kazuhide Matsumoto, Nao Fujimori, Kazuya Ichihara, Ayumu Takeno, Masatoshi Murakami, Akihisa Ohno, Shotaro Kakehashi, Katsuhito Teramatsu, Keijiro Ueda, Kohei Nakata, Osamu Sugahara, Takeo Yamamoto, Akinobu Matsumoto, Keiichi I. Nakayama, Yoshinao Oda, Masafumi Nakamura, Yoshihiro Ogawa
顿翱滨:10.1007/蝉00535-024-02103-0

研究に関するお问合せ先

九州大学病院 讲师  

医学研究院 主干教授