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Research Results 研究成果

乳児股関节脱臼を激减させた予防运动の価値をライフコース疫学で解明

胎児?新生児から始まる成人期の运动器疾患の予防法に期待
医学研究院
山手 智志 医員
2024.04.18
研究成果Life & Health

ポイント

  • 1965年以前のわが国は乳児股関节脱臼の多発国であったが、1972-1973年顷に普及した予防运动をきっかけに脱臼が激减した。
  • 半世纪前の予防运动が现在の成人期の変形性股関节症患者の重症亜脱臼の减少に関连している事を初めて可视化した。
  • 成人疾患を胎児?新生児からの连続した病态と捉えるライフコース疫学の考え方を用いる事で、人生の早い段阶からの疾患予防の重要性が注目されることが期待される。

概要

従来の医学は、疾病発症后の诊断と治疗に重点を置いてきたため、疾病にならないための予防医学に関する研究が少なく、さらには新生児期から成人期までの长期的な成果を调査した研究は、未だほとんどありません。かつてのわが国は乳児股関节脱臼の多発国でしたが、1972-1973年顷に出生直后から新生児の自然な下肢屈曲を妨げない事が予防に重要である事を一般人口(妊妇、助产师、ベビー服製造业など)に広く伝える启蒙运动が行われた结果、小児の脱臼?亜脱臼?寛骨臼形成不全が激减したことが报告されました。その予防运动の曝露をうけた人口が変形性股関节症の発症年齢となった50年后の现在において、胎児?新生児期への予防运动の曝露と変形性股関节症の疫学との関连を明らかにする事を目的に、多施设横断的疫学调査を行いました。

調査は、九州大学大学院医学研究院整形外科教室の山手智志 医員(医学系学府博士課程4年)、佐藤太志助教、中島康晴教授らが全国12施設(九州大学病院、横浜市立大学病院、九州労災病院、福岡大学病院、飯塚病院、金沢医科大学病院、北海道大学病院、JCHO九州病院、金沢大学病院、京都大学病院、浜の町病院、山形大学病院)で共同研究を行いました。その結果、予防運動が始まった1972年の出生年を境に、治療歴のある患者の減少傾向が始まった事を明らかにしました。また、出生年が1972年以前の重度亜脱臼の存在率は、11.1%でしたが、予防運動の曝露を受けた1973年以降出生の集団では重度亜脱臼の存在率が2.4%と有意に減少していることを明らかにしました。この結果から、我々は乳児股関節脱臼の予防運動は半世紀後の2022年における思春期?成人期の変形性股関節症の疫学と関連している事を示しました。

今回の発见は、成人疾患を胎児?新生児からの连続する病态として捉えるライフコース疫学の重要性を示し、人生の早い段阶における运动器疾患の予防法の开発に役立つことが期待できます。

本研究結果は米国の科学雑誌「The Journal of Bone & Joint Surgery」に2024年4月17日に公開されました。

研究者(山手医员)からひとこと

疾病の一次予防は『患者がいなくなること』が目标で、诊断や治疗を重视し提供する立场からは、结果が见えにくい事が课题でした。本研究は、わが国の整形外科学が成し遂げた予防医学の成功を可视化したもので、変形性股関节症はそのモデル疾患として、次世代の医学教育に役立つ事が期待できます。

论文情报

掲載誌:The Journal of Bone & Joint Surgery

タイトル:Life Course Epidemiology of Hip Osteoarthritis in Japan: A Multicenter, Cross-Sectional Study

著者名:Taishi Sato, Satoshi Yamate (equal contribution), Takeshi Utsunomiya, Yutaka Inaba, Hiroyuki Ike, Koichi Kinoshita, Kenichiro Doi, Tsutomu Kawano, Kyohei Shiomoto, Toshihiko Hara, Kazuhiko Sonoda, Ayumi Kaneuji, Eiji Takahashi, Tomohiro Shimizu, Daisuke Takahashi, Yusuke Kohno, Tamon Kabata, Daisuke Inoue, Shuichi Matsuda, Koji Goto, Taro Mawatari, Shoji Baba, Michiaki Takagi, Juji Ito, Yasuharu Nakashima, and the Japanese Hip OA Consortium (Ryosuke Yamaguchi, Goro Motomura, Satoshi Hamai, Shinya Kawahara, Daisuke Hara, Hyonmin Choe, Takuaki Yamamoto, Hajime Seo, Taiki Matsunaga, Satoshi Shin, Makoto Fukui, Toru Ichiseki, Yutaka Kuroda, Toshiyuki Kawai, Yaichiro Okuzu, Koichiro Kawano, Reima Sueda, Satoshi Hagio, Satoru Harada, Yuya Takakubo, and Takeshi Sameshima)

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医学研究院 山手 智志 医員