Research Results 研究成果
ポイント
概要
国立大学法人 東海国立大学機構 名古屋大学大学院理学研究科の佐々木 武馬 助教、杉山 友希 特任助教、小田 祥久 教授の研究グループは、大学共同利用機関法人 情報?システム研究機構 国立遺伝学研究所 遺伝メカニズム研究系の斎藤 慧 助教、島本 勇太 准教授、国立大学法人 九州大学 大学院芸術工学研究院の井上 大介 助教、ストックホルム大学(スウェーデン王国)のヘンリック サーク 博士、エドワール ペスケ 教授との共同研究により陸上植物の水の通り道を形づくるタンパク質を発見しました。本研究グループは、道管における細胞壁の微小な孔(壁孔)に存在するMAP70-5タンパク質に着目し、このタンパク質が微小管注2)と呼ばれる細胞内の繊維を曲がりやすくすることにより、道管における壁孔の立体構造を決定していることを明らかにしました。
植物の细胞を覆う细胞壁は、细胞の形の维持に加え、水分?养分などの输送も担います。壁孔を含め、植物の细胞壁の立体构造を决定する仕组みはほとんど明らかになっていません。本研究は植物の细胞壁の立体构造が、微小管の物理的な性质を制御することにより决定されることを世界ではじめて明らかにしました。これは植物の细胞壁の形成机构を理解する上で数少ない重要な知见です。また、本研究から得られた知见を利用して植物の细胞壁构造を改変することにより、将来的な植物细胞の形态や机能、さらには植物个体の性质や形态を人為的に制御する技术、利用しやすい木质バイオマスの生产技术にも繋がる可能性が考えられます。
本研究成果は2023年11月13日午後7時(日本時間)付イギリス科学誌「Nature Communications」誌でオンライン公開されました。
MAP70-5 の壁孔形成の制御と微小管に対する効果
用语解説
注1)细胞壁:
植物の细胞膜の外侧に形成され、植物细胞の形态や机能を决定づける构造。主にセルロース、ヘミセルロース、ペクチンから成る。道管や仮道管、繊维の细胞壁にはこれらに加えてリグニンが沉着する。
注2)微小管:
チューブリンと呼ばれるタンパク質が重合することで作られる直径24 ナノメートルのチューブ状構造。細胞分裂や細胞内輸送など多様な機能を担う。植物細胞では細胞表層に並び、細胞壁の主成分であるセルロースの合成を導いている。
论文情报
雑誌名:Nature Communications
论文タイトル:
cell wall structures in xylem vessels
著者:*佐々木 武馬、斎藤 慧、井上 大介、Henrik Serk、*杉山 友希、Edouard
Pesquet、島本 勇太、*小田 祥久 (*名古屋大学関係者)
DOI: 10.1038/s41467-023-42487-w
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