Research 研究?产学官民连携
芸术工学研究院 人间生活デザイン部门
准教授 西村贵孝
我々ヒトは姿?形だけではなく、环境の変化や様々な刺激に対応する生理机能においても多様性を有します。例えば、暑がりであったり、寒がりであったり、お酒に强かったり弱かったり、ストレスに强かったり弱かったりといった具合です。これらはなんとなく「个人差だよね」と扱われがちですが、実はその个人差の背景には人类の进化?适応が関连している场合があります。当研究室では、このようなヒトが示す生理的な多様性を、环境への适応という人类学的観点から捉える研究を行っています。
UCP1遺伝子の産熱型GnGTAnタイプと緯度の関連(Nishimura et al 2017より改変)
この研究では肥満と関连し、人类の寒冷适応と関连するとされるUCP1遗伝子の遗伝的タイプに注目した研究です。従来は特定の遗伝的タイプが寒い地域に多いと寒冷适応的と関连するのではないかという研究が多かったのですが、この研究では実际に寒冷曝露した际の产热が大きいUCP1遗伝子のタイプを推定し、世界中の遗伝情报と照合すると、アフリカ地域では低频度、アジア地域で中程度、北部ヨーロッパでは高频度という结果を得ました。これはUCP1遗伝子が寒冷适応と関连するという従来の仮説を生理学的に强く支持しました。つまり、现代人の肥満は过去の人类の遗伝的な寒冷适応の结果にも左右されるといえそうです。
入浴习惯の违いがヒトの発汗量?血流量に与える影响(2023年?日本生理人类学会第84回大会?発表データより)
この研究では、入浴习惯と体温调节机能に注目しました。日本人は入浴の际に汤船に入ることを好む民族ですが、近年ではシャワー浴だけで済ませる者も少なくありません。そこで汤船に週4日以上入る人たちと、4日未満の人たちを対象に、実际に入浴时の生理机能を测定しました。その结果、汤船によく入る人たちのほうが、そうでない人たちに比べて発汗応答が早く、発汗量も多いことがわかりました。血流量の応答も同様の结果を示しました。従って、汤船によく入る人たちは放热机能に优れることがわかりました。入浴习惯の违いが、ヒトの体温调节机能に影响を与えていると言えます。
このように何気ないヒトの生理机能の多様性は人类の过去の环境への适応の结果であったり、普段の生活习惯であったり、様々な要因に影响を受けます。良いデザインとは、このような人间の特性を最大限理解し、またそのメカニズムを活かすことで人の生活を豊かに、安全に、健康にしていくものではないでしょうか。
[引用文献]
Nishimura T, Katsumura T, Motoi M, Oota H, Watanuki S. Experimental evidence reveals the UCP1 genotype changes the oxygen consumption attributed to non-shivering thermogenesis in humans. Sci Rep. 2017 Jul 17;7(1):5570.?
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