Research 研究?产学官民连携
大学院芸術工学研究院 デザインストラテジー部門
兼 大学院芸術工学研究院附属 応用生理人類学研究センター レジリエンスデザイン部門
准教授 藤 智亮
ヒトにもっとも近い种であるチンパンジーは、1人の子を4~5年かけて育て上げてから次の子を产みます。子育てをするのは母亲だけです。これに対してヒトは、复数の子を同时に约20年かけて育てます。子育てには父亲や祖父母らも参加します。
気候変动で热帯雨林が减少し、危険な草原で暮らさざるを得なくなったヒトは、脳を大きく进化させ高度な认知能力を得ることによって絶灭を逃れ繁栄してきました。そのため子育てには、产まれたての未成熟な脳と体の両方を育てるのに、约20年もの长い歳月を要するようになりました。
子育てに时间がかかれば、生涯に育てられる子の数が少なくなりますが、ヒトは、一人の子育てが终わる前に次の子を产み、同时に复数の子を育てることによって种を保存してきました。このとき、母亲だけで复数の子を育てるのは困难なので、ヒトは子育てに父亲や祖父母らも参加し、手がかかる复数の子をみんなで育てるという戦略をとりました。このようにヒトは、子をみんなで育てる动物なのです。
しかし、现在の日本では核家族化が进み、みんなで育てるという人间本来の子育てができなくなってきました。このような状况において、授乳という役割のために子育てから逃れることができない母亲は、一人で大きな负担を背负わざるを得なくなりました。
子育てに悩む母亲へのもっとも効果的なサポートは、社会的?人的サポートです。このことは、みんなで育てるという人间本来の子育てを考えれば当然のことです。しかし、核家族で頼れる祖父母が家におらず、隣人との繋がりも希薄な现代社会においては、育児用品による物的サポートに頼ることも必要であると考えられます。
そこで当研究室では、多くの母亲の悩みの种である“赤ちゃんの寝かしつけ”に着目し、「育児支援のための电动ベビーベッド」を开発(文献1)しました(図1,図2)。このベビーベッドは、泣き声を検知したら自动で揺れ始めます。揺れの幅は10センチ程度です。最初は少し速めに揺れ、つぎに母亲の心拍数と同じ程度の速さで揺れます。安全性を考虑して、揺れは15分で停止する设计にしています。评価実験(文献2)では约8割の赤ちゃんに明らかな効果がみられました(図3,図4)。揺らす幅やスピードなどを変えて多くの実験をしましたが、赤ちゃんがもっとも心地良く感じる揺れのリズムが、お母さんの心拍リズムと见事に一致するのです。そのデータを目の当たりにしたときは大変感动しました。
図1 设计?製作した电动ベビーベッド(初期型)
図2 设计?製作した电动ベビーベッド(量产型)
図3 赤ちゃんが心地良く感じる揺れの评価実験
図4 保育园でのフィールド実験
「母亲はそれくらいがんばって当たり前」、「母亲失格じゃないの?」といったような、母亲を攻撃するような声を良く耳にします。ヒトはみんなで子を育てる动物です。母亲一人に子育てやその责任を押しつけてはいけません。みんなで助け合い社会全体で子育てをする环境をつくっていきたいと考えています。
■参考文献
(1) 藤 智亮,立石 憲治, 育児支援のための揺動型電動ベビーベッドの設計および効果の検証, 日本設計工学会誌 設計工学, 52, 4, pp.217-228, 2017
()
(2) 藤 智亮,育児支援のための電動ベビーベッドの開発 -揺動刺激が児におよぼす鎮静効果-,日本設計工学会誌 設計工学,49, 9, pp.492-497, 2014
■関连サイト
揺動型ベビーベッド スイマ()
■お问い合わせ先
大学院芸術工学研究院 デザインストラテジー部門