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Research 研究?产学官民连携

夜の光と体内時計 - 明るい夜にあなたの時計は大丈夫?-

芸術工学研究院 研究紹介

夜の光と体内時計 - 明るい夜にあなたの時計は大丈夫?-

芸术工学研究院 兼 応用生理人类学研究センター 兼 未来デザイン学センター
教授 樋口重和

■研究の背景

 人工卫星から撮影された夜の地球の写真をつなぎ合わせると、光によって世界地図が浮かび上がってきます。夜の光は私たちが安心して生活を送るためには欠かせません。しかし、最近の研究で、明るい夜がヒトの概日时计や睡眠に悪影响を及ぼしていることが指摘されています。私たちの研究室では、健康で人间に优しい光环境をデザインするために、光がヒトの生体に及ぼす影响を明らかにしています。

世界の夜の光。卫星からの写真。右端には日本が见える。アジアの中でもひときわ明るいことがわかる。()

■概日时计とは?

 概日时计とは体内时计の一种で、その中枢は脳の视床下部に存在し、约1日の周期で时间を刻んでいます。この概日时计は、地球の自転に伴って生じる明暗サイクルに体を同调させる役割もあります。目から入った光は明るさや色の知覚とは异なる経路(図左の点线)で脳の概日时计に伝わります。私たちの研究では夜にだけ分泌されるメラトニンと呼ばれるホルモンが、光によって抑制されるという特徴を使って、光の影响を调べています(図右)。

光の二つの伝达経路とその影响。()

■子どもは大人以上に光の影响を受けていた

 夜の光の影响は谁でも同じでしょうか?大人と子どもで夜の光の影响をメラトニンで调べてみました。惊いたことに子どもは大人の2倍も光の影响を受けていることがわかりました。コンビニくらいの明るさの光で実験をしてみたら、子どもはほぼ完全にメラトニンの分泌が抑えられていました。最近では、の中で、人工照明の影响を调べるために、あえて人工照明の无い中でキャンプ生活を送る子どもたちの概日时计について调べています。

白色の蛍光灯の影响を调べた実験风景(左)とメラトニンの结果(右)。下向きの矢印が光の影响の大きさを示す。グラフは以下の论文から引用して改変。
Higuchi et al. (2014). Influence of light at night on melatonin suppression in children. J Clin Endocrinol Metab, 99(9), 3298-3303 ()

「」30泊31日が行われているキャンプ场。人工照明の少ない自然の中で生活した时の子どもたちの睡眠や概日时计を调べている。

■夜に働く人たちのための光

 夜勤や交代制勤务は体のリズムや睡眠を乱します。夜に働くには欠かせない光ですが、皮肉なことにその光が健康のリスクを高めているのです。私たちの研究室では、夜勤者を光の悪影响から守るためのアイデアを考え、その効果を科学的に検証しています。最近では、宇宙航空研究开発机构(闯础齿础)との共同研究で、24时间体制で働く管制室の照明についての研究も行っています。

夜勤时の仮眠の効果を调べた研究は狈贬碍のクローズアップ现代「」で绍介された。実験风景(左)と撮影の様子(右)。実験は芸术工学研究院のの人工気候室で実施。

■桿体と锥体以外の别の视细胞があった!

 光の概日时计への影响は青色光で强いことがわかっています。これは、メラノプシンと呼ばれる光受容体を含む神経节细胞の存在によるものです。2000年に入る直前ごろに発见され、世界に大きな衝撃を与えました。この视细胞は光の情报を概日时计に伝えています。私たちの研究室でも、ヒトのメラノプシンの遗伝子の多型に着目した実験を行いました。简単に言えば、タンパク质の设计図が违えば、反応が异なることを明らかにしました(;)。その内容の一部は(平成24年11月発行)でも绍介されています。

九大広报で紹介されたメラノプシン研究の記事(当時博士課程の学生だった李相逸さんの研究)

■兴味のつきない研究テーマ

 エジソンによって白热灯が発明され、その后に蛍光灯が急速に普及し、近い将来には尝贰顿や有机贰尝などの新しい照明に取って代わることでしょう。技术开発が进む一方で、ヒトへの影响についてはまだ知られていないことがたくさんあります。基础的な研究を通して光と概日时计の関係を明らかにし、それらの成果を健康的なライフスタイルや光环境のデザインに役立てたいと思っています。

■参考文献

详しい情报をご覧になりたい方は以下の総説记事などもご参照ください。
樋口重和, 李相逸 (2015) 光のサーカディアンリズムとメラトニン分泌への作用の個人差. 照明学会誌 99(1), 22-24()
樋口重和 (2011) 光の非視覚作用-光環境への適応-. 日本生理人類学会誌15(1), 21-26 ()

■お问合せ先
大学院芸术工学研究院 デザイン人间科学部门