Research Results 研究成果
ポイント
概要
过去65年间にわたる観测値の统计解析から、2010年以降の南北に倾斜した构造を持つ高気圧(南北倾斜高気圧)の発生および、偏西风蛇行が、北日本の猛暑频発?冷夏不発生の一因であることを解明しました。偏西风の蛇行、南北倾斜高気圧の発生は、地球温暖化に伴うユーラシア大陆北东部の高温化や、本研究によって初めて発见された北半球规模での気候のレジームシフトと関係があります。このレジームシフトによって、北日本では毎年のように猛暑が引き起こされており、今后灾害级の冷夏は発生しない可能性が高いです。この研究は、日本をはじめ、北半球の各地域における异常気象のさらなる解明と予测において新たな键となるとともに、地球温暖化の予测、缓和、适応などにも役立つことが期待できます。
2010年以降猛暑が続く理由の模式図
(1)通常年は北海道付近を西から东に流れる上空の偏西风が、近年大きく北に蛇行。
(2)蛇行の凸の场所に上空の高気圧(H)が発生し停滞。
(3)上空の高気圧は下层に向かい南へ倾斜し、地面付近では日本付近に中心を持つ高気圧(贬)となる。
(4)この高気圧(贬)は2010年以降ほぼ毎年発生(今年2023年にも発生)。
(5)高気圧による下降気流が猛暑を强化。
(6)高気圧は、暖かい大陆と冷たい海洋の温度差の増大と偏西风の蛇行で発达。
(7)近年の大陆の温暖化加速が倾斜高気圧とそれに伴う偏西风の蛇行を强化。
(8)地球温暖化に伴い、2010年顷に北半球规模の気候のレジームがシフトしたことが、倾斜高気圧に伴う猛暑多発の一因。
用语解説
*気候のレジームシフト:気温や风などの気候要素が、ある状态から别の状态に急激に変化すること。気候ジャンプとも言う。2010年顷にレジームシフトが起こったことを本论文が初めて示した。过去には、1978年や1989年にレジームシフトが起こったことが知られている。
*南北倾斜高気圧:本研究により解明された新型の高気圧で、上空の偏西风の北への蛇行と连结している。通常の高気圧は下层から上空に向けて东西に倾斜した构造を持ち、地球の南北の温度差と连动する。南北の温度差を効率よく解消するために通常の高気圧は东西に倾斜する。一方、南北倾斜高気圧は高温の大陆と低温の海洋の东西温度差と连动するため、倾斜方向が异なる。
*偏西風:中緯度上空を定常的に吹く西風。偏西風は通常は直進するが、何かの影響で南北に大きく蛇行し、その蛇行が長続きすることがある。偏西風が蛇行すると、蛇行の山と谷に対応して高気圧と低気圧が発生し、それらが同一の场所に長く停滞し、異常気象をもたらす。
论文情报
雑誌名:Journal of Climate (アメリカ気象学会発行)
论文名:
著者:天野未空(三重大学大学院生物資源学研究科 博士前期課程2年)
立花义裕(叁重大学大学院生物资源学研究科?教授)
安藤雄太(九州大学大学院理学研究院 地球惑星科学部門?学術研究員)
DOI: 10.1175/JCLI-D-23-0191.1
公表日:日本時間2023年8月31日(木) オンライン公開
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